トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > すんごいナチュラルなかまいたち

かまいたちは、すんごいナチュラル。黒柳徹子の“規定演技”もサラリとこなす絶妙さ

かまいたち・濱家「ちょっとオープニングからやり直してもいいですか?」

 11日の『徹子の部屋』は、いつものようにテーマソングが流れるなか、黒柳徹子によるかまいたちの紹介で始まった。

「さて今日のお客様は、大変売れっ子のお笑いコンビ、かまいたちのお二方です。東京に進出して3年。テレビで見ない日はないという売れっ子。大変な人気者です。お二人とも一児のパパで親になって改めてご両親に感謝してらっしゃるそうですが、なにしろルックスの大変いいお二人でいらっしゃいます」

 濱家はともかく山内のほうのルックスが褒められるのはめずらしい。『アメトーーク!』では、かまいたちと見取り図のイベントで1000人の観客に4人のうちで恋人・結婚相手にしたいのは誰かアンケートをとったところ、山内は6票だったとネタにされていた。ただ、2人とも肌がキレイ。ネタやトークの面白さはもちろんのこと、そんなビジュアルが彼らのテレビでの人気を支えているのだろうと個人的には感じている。

 さて、黒柳はお笑いコンビをゲストに迎えると、必ずどちらがボケで、どちらがツッコミなのかを視聴者に説明する。ボケの山内は島根県出身、国立大を卒業し教員免許を持つ優等生。ツッコミの濱家は大阪出身、子どものころから人を笑わせるお調子者。そんな紹介ののち、黒柳は彼らの”戦歴”を語り始めた。そして――

「お二方とも大実力派のコンビということで。『キングオブコント』で優勝なさいましたし、『M-1グランプリ』でも準優勝なさいました。ここまでこういうふうに言って、何かちょっとおもしろいことやっていただけます? って言ったら、もうすぐおできになります?」

 特に『アメトーーク!』でイジられ始めて以降、芸人に対する黒柳の“ムチャブリ”は番組恒例になってきた。今回もまた、いつもの流れだ。が、いつもにも増してゲスト紹介から“ムチャブリ”までの流れが急旋回だ。「……あ、いまですか?」などと少しびっくりする様子を見せる2人。おそらく、何かしらの準備はしてきたのだろう。山内が先陣を切った。

「僕、面白い顔ができるんで、ちょっと見ていただいていいですか?」

 そう言って、手を使って変顔をするも手が邪魔でその顔が見えない、というやつをやる山内。濱家が「せっかくおもろいのに手、邪魔で顔見えへんな」とツッコミを入れる。沈黙の徹子。続けて、濱家も手を使った変顔。これにも沈黙の徹子。両者のやり取りは、次のような徹子側からのシャットアウトで終わりを迎えた。

濱家「ちょっとオープニングからやり直してもいいですか?」
黒柳「結構です」

 見事な”ムチャブリ”からの一連の流れが決まった。もはや規定演技の趣すらある。

 この“ムチャブリ”に対しては、しばしば芸人側が身構えるような素振りを見せることがある。ただ、「芸人がウケようと頑張ってるのにスベる」を一種の“お約束”としてやってしまうことそれ自体が、もうずいぶん前からスベっているように思う。そんななか、自分たちの本芸でもなんでもない変顔のようなものをサラッと披露したかまいたちは、なんだか絶妙に感じた。

 規定演技はクリアしているし。変顔のようで変顔ではない、なんだか文字で表現しにくいやつなので、変に話題にもならないし。ここで披露したギャグが徹子のお気に入りになると何度も振られたりするのだけれど、それもないので親孝行や家族に関するトークも厚めにできたし。それらのトークを通じて、徹子の“ムチャブリ”を期待し瞬間的に消費するような層(もちろん私も含む)とは別の層に、自分たちのパーソナリティがノイズなく紹介できたし。

 そういえば、『アメトーーク!』でアンガールズ・田中がこんなことを言っていた。

「関西から出てきた人って、つまずくっていうじゃないですか。俺が見てて思うのは、だいたい手土産で、コンビ内の変なやりとりやるんですよ。あれがだいたいズルスベりして、自分でピンチになっていくんですよ。ただ、かまいたちの場合は、それをやるんだけど、すんごいナチュラルなの。そのあと誰でも入ってこれるようなナチュラルな感じでやる、初めての関西の芸人で。こんなやついるんだって」

 なるほど、すんごいナチュラル。彼らをテレビで見る日々はこれからも続きそうだ。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

サイト:記事一覧

Twitter:@inyou_te

いんようてれび

最終更新:2021/11/17 12:00
12
ページ上部へ戻る

配給映画