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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 瓜田純士が「アウトロー」の垢を落とすまで

瓜田純士はいかにして変わったか?「アウトローの殻を破りたかった」─人生の再起を図った男の告白手記『アンサー』

 作家でYouTuberの瓜田純士が19日、新著『アンサー』を上梓する。6年ぶりの商業出版となる本作は、アルコールとバイオレンスまみれのドン底でもがき苦しんでいた瓜田が、最愛の妻と出会うことで再起を誓い、人生の垢を落としていく“復活の記録”だ。発売を記念して、著者インタビューをお届けしよう。

写真=江森康之

――出版の動機から教えてください。

瓜田純士(以下、瓜田) トラブルの絶えない最低な生き方をしていた俺が、そこからどうやって立ち直ったのか? その道のりを記録として残したいと思いました。チェンジ、やり直し、再起動。そのあたりがコンセプトワードとなります。

 ただし、青年実業家やカリスマキャバ嬢が出しているような、ガチガチの自己啓発本みたいにはしたくなかった。そもそも俺は、「成り上がった」わけでも、「1億円儲かった」わけでもないですからね。やっと「普通に戻った」だけ。

 書いている途中に気をつけたのは、不良テイストの強い過去の作品とは、中身を重複させちゃいけないということ。本のカラーというものがあったとして、例えば今回は「白い本」を目指していたとしますよね。ところが、書いている途中に、ふと気づくと、「黒い本」に戻りかけていることが何度かあったんですよ。「まだそこにいるの?」「またそこに戻る気でいるの?」とならないよう、何度も軌道修正をしました。あくまでも前を向いている姿を読者には見せたかったし、自分としてもアウトローの殻を破りたかったので。

 ヤクザ時代の初出しのエピソードも盛り込みましたが、それは決して後ろ向きな意味や、武勇伝として書いたわけじゃない。俺は、こんなにも面倒臭い世界にいた。そこからどうやって普通に戻ったのか、ということを伝えたかっただけです。

――プライドの高い瓜田さんが、アウトサイダー時代の試合を「醜態」と認めるなど、自らの弱みを赤裸々に綴っているのが印象的でした。中でも意外だったのは、「人付き合いが苦手」ということ。YouTuberとして数々のコラボをこなし、喋りも上手なので、てっきり社交家なのかと思っていました。

瓜田 YouTubeのときはスイッチを入れているだけ。以前よりはだいぶましになったけど、基本は今も、人付き合いが苦手ですよ。クリーニング屋さんから「クリーニングが仕上がりました」という電話がかかってくることさえもストレスなんです。人って親しくなればなるほど、世間話が増えるじゃないですか。そういうストレスが邪魔をして、通常の暮らしの集中力を乱されるのが嫌なんです。

――そんな瓜田さんですが、長年ネットで叩かれたり、実社会でも誰かに狙われたりと、多大なるストレスに悩まされ続けてきました。

瓜田 昔のトラブルの多くは、身から出た錆。悪いことばかりしていた俺にも原因がありました。そんな俺が、ちょっとずつ垢を落とし、社会性を身につけていくわけですが、その立役者は間違いなく、嫁の麗子ですね。彼女の教えを守り、酒、タバコ、悪い人間との付き合いをやめ、格闘技に打ち込むようになったことで、俺は変われたんだと思います。

――良い人間、悪い人間の見分け方は?

瓜田 俺はもともと鼻が利くんですよ。ところが、情や心の弱さが邪魔をして、以前はことごとく選択を間違えてきた。「コイツは危険だ」という予感がするにもかかわらず、突っ込まなくていい問題に首を突っ込んでしまい、ついカッとなって相手のところに乗り込んで、いいように利用されたり、悪の道に引きずり戻されたりすることを繰り返してきました。

 でも、麗子と一緒になってからは、そういうことが減った。本にも書きましたが、嫁は俺よりも鼻が利く上、「瓜田純士という男が一般社会に受け入れられるためには、ここでこういう行動を取るべき」という的確なアンサーをいつも教えてくれるんですよ。

――その麗子さんとの出会い、そして、子どもたちとの出会いについても詳細が綴られています。

瓜田 どこまで書いていいのか迷う部分もあったけど、その一つひとつを嫁に確認をとっていたら、筆が止まってしまうし、書きたいことも書けなくなってしまう。そこでひらめいたのが、「麗子」という章を設けることです(笑)。まるまる一章、嫁のためにページを割けば、彼女のメンツが立つ。そうやって嫁の機嫌をとりながら、執筆を進めました。これまであまり明かしてこなかった、父親や実の兄との関係についても、かなりのページを割いて書いています。

――「YouTube」という章も読み応えがありました。

瓜田 偏見を持たず、俺みたいな男とコラボしてくれた朝倉兄弟や原田龍二さんらへの感謝。そして、変態カメラマンの採用理由などについて書きました。

――多くの人が気になっているであろう「アウトロー系YouTuber」との抗争。それについても、強い意思表示をしていますね。

瓜田 あれが俺流のアンサーです。

――こういう本を堂々と書けるようになったということは、精神状態や周辺環境が落ち着いてきた証拠と言えそうですね。

瓜田 最近は、心の中に一本の幹が通った感じです。昔の自分はクズだったけど、ここ数年は行いが白い靴のようにきれいだから、「自分は何も間違ってない」と、自信を持って言えるようになりました。

 今でもトラブルはあるにはあるんです。実はついさっきも、ある人間と電話で激しい口論をしたばかりで。そんなとき、後ろめたいことがある昔の自分だったら、「また俺の下手打ちが原因か?」と思ってズルズルとマイナスの世界に戻っていたけど、今は「ちょっと待てよ。俺は何も悪くないぞ」と思い直せるようになった。だって実際、やましいことは何もしていないわけですから。

 とはいえ、カッとなってしまうのは、まだまだ俺が未熟な証拠。今の俺に足りないのは、スルースキルですね。その点、メガトン級に「こいつの心臓はすごい」と思うのは、朝倉未来です。完全自分本意で他人の事情など眼中にないあのアイアンハートが、俺にはまだない。例えば朝倉未来が人間関係のトラブルに巻き込まれたとしても、おそらく彼は「へぇ、そうなんだ」とか言いながら、涼しい顔してトレーニングして早寝して終わりでしょう(笑)。

――では最後に、これから『アンサー』を読む方々へメッセージをお願いします。

瓜田 この本は、妻が俺に教えてくれた「人生の再起を図るための究極のバイブル」です。「あの瓜田でさえ、ここまで変われたんだから、俺も変われるかも」といった感じに、この本を通じて、みんなのことをちょっとでも勇気づけることができたら嬉しいですね。そして、俺にはまだスルースキルがないので、読んだ後に悪い感想は書かないでくれよな。

(取材・文=岡林敬太)

■瓜田純士新刊『アンサー』


定価1540円(税込)
Amazonで先行販売中。
サイゾーブックストアでは、限定特典付き。

懲役、土下座、精神病院、割腹自殺、刃傷沙汰……社会の“外側”でもがき、“底辺”から這い上がり続けてきた、キング・オブ・アウトローと呼ばれた男「瓜田純士」。

そんな彼が、ヒット作『遺書』『國殺』から6年の沈黙を破り綴った告白手記『アンサー』。
そこに描かれているのは、我々が知っていた瓜田の姿ではなかった。
暴力を捨て、妻を愛し、質素な生活をしつつ、YouTubeであらたな表現に挑戦し続ける……41歳になった男は、“顔面タトゥー”という強烈なビジュアルとは相反するも、アウトロー時代より大きな魅力と鋭い感覚をまとっていたのだ。
瓜田純士が変わった——。何が変わったのか? どうして変わったのか?
この本には、歌舞伎町を根城とした元アウトローが「最低だった生き様」を「最高の日々に変えるまで」の「アンサー」が詰め込まれている。
瓜田の言葉は、現在の生き方に鬱屈している人たちにとっても、人生を大きく変えるための、ひとつの答えとなるだろう。

 

最終更新:2021/11/19 12:08
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