トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > BTSのグッズが世界中で争奪戦に!?

BTSのグッズが世界中で争奪戦に!?NFTに参入で起こるいいこと・悪いこととは?

BTSのグッズが世界中で争奪戦に!?NFTに参入で起こるいいこと・悪いこととは?の画像1
BTS(写真/Getty Imagesより)

 世界のトップアイドル・BTSがNFT(非代替性トークン)市場に参入するという話題が報じられた。この報せに対しファンたちが反応しているが、「それっていったいどういうこと?」という疑問も少なくない。

 日刊サイゾー編集部の取材に応えた20~30代の女性ファンたちは、「え? 新しいグループか何かですか?」「横文字のニュースにまったくついていけない」というような声が続々と挙がっている。

 そこでアイドル業界とNFTの関係や見通しについて説明していきたい。

 細かな話をすべて省いてNFTを簡略的に説明すると、「デジタル情報をコピーできない技術、もしくは複製できないデジタル商品」と理解して差し支えない。これまで、リアル(実物)には限定グッズや、メンバーが寄付した希少性の高いオークションアイテムなどが存在したが、デジタルグッズではそれを実現することができなかった。理由はシンプルでコピーされてしまうから。NFTには、ブロックチェーンというデジタル情報を改ざんできない技術が使われており、そのためオリジナルかつ限定のデジタルグッズをつくれるようになる。

 さて、BTSなどアイドルがNFTに参入するとどうなるか。まず良い影響としては、希少性の高い、しかもコピーされないデジタルグッズが生まれることになる。

 BTSは今後、各メンバーのデジタルトレーディングカードを販売する計画だという。タップすると音楽が流れたり、メンバーの声が流れるという商品になる予定のようだ。

 この商品のコンセプトは実物版の限定フォトカードとそれほど変わらない。ただデジタル版も違法コピーができなくなるのでBTS側に収益がしっかりと還元されることになる。

 一方、ファンにとっては限定グッズを実物と同じ感覚(自分しか持っていないなど)で、スマホやPCに所蔵できるようになる。

 もちろん、NFTにはファンにとって良くないことも起こりうる。例えば、入手するためのライバルが増えることや、限定グッズの“価格高騰”だ。

 リアルなグッズは少なからず、一定の国やエリア内でのみ販売されるので、いかにお金を持っていようとも該当する場所に住んでいるファンしか購入することができない。購入代行を使おうにも手段に限りがあるだろう。一方で、NFTはデジタルグッズなので世界中のどこからでも買えてしまう。販売開始とともに世界からアクセスが殺到し売り切れてしまうということが容易に想像つく。BTSのように世界中にファンがいるアイドルグループでは、その可能性がさらに高まるだろう。

 また、NFTはセカンダリー市場(転売市場)でもやり取りされることが多いのが特徴だ。NFTのセカンダリー市場は仮想通貨取引所や専門企業が運営することが多い。そこでは、よりお金を払った人が所有権を持つオークション方式が多く取られている。仮に世界的なアイドルのNFTグッズが2次市場で流通するとどうなるか。限定グッズの価格がうなぎのぼりに高騰し、お金を大量に持つファンしか手にすることができないという状況が生まれてしまう可能性が高い。しかも、この「お金を大量に持つ」というのは従来の想像の範疇を超える。

 というのも昨今、NFTで作品を販売したデジタルアーティストの作品が、数百万円、数千万円という価格で取引されていることが珍しくなくなってきている。アラブの石油王のこどもたちや、韓国財閥の若者たちが、大枚をはたいてNFTを落札するということも決してありえなくないのだ。

 BTSの場合、韓国の仮想通貨取引所・Upbitと合弁でNFT市場に参入するとしているので、そういった価格高騰のケースも十分に想定しうる。

 またNFTにはほかの問題も。技術に詳しい日本トップの専門家は言う。

「NFTはたしかにコピーはできないのですが、原理的に“盗む”ことは可能になっています。つまりハッキングで所有権を移転させたり、データ自体を奪うということです。可能性がたくさんある分野ですが課題もあるし、リアルな商品の良さも捨てきれない。市場として伸びるかどうかはまだまだ未知数です」

 ファンに公平で優しく、またセキュリティが高いデジタルグッズ。アイドル業界では、そんなNFTの在り方が望まれていくはずだ。

河 鐘基(ジャーナリスト)

リサーチャー&記者として、中国やアジア各国の大学教育・就職事情などをメディアで発信。中国有名大学と日本の大学間の新しい留学制度の設置などに業務として取り組む。「ロボティア」「BeautyTech.jp」「Forbes JAPAN」など、多数のメディアで執筆中。著書に「ドローンの衝撃 」(扶桑社新書) 「AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則」 (扶桑社新書)、共著に「ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実」 (光文社新書)など。

Twitter:@Roboteer_Tokyo

はじょんぎ

最終更新:2021/11/14 18:00
ページ上部へ戻る

配給映画