トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『ねほぱほ』「自由とは永遠の警戒心を持つこと」

『ねほりんぱほりん』香港のデモに参加した人「自由とは永遠の警戒心を持つこと」日本も対岸の火事じゃない

『ねほりんぱほりん』香港のデモに参加した人「自由とは永遠の警戒心を持つこと」日本も対岸の火事じゃないの画像1
『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)

 11月5日に放送された『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)が攻めていた。この日のテーマは、なんと「香港のデモに参加した人」である。

 そんな重い題材なのに、オープニングは至極ポップだ。1匹のブタがカフェで「国のコロナ対策はどうなってんのかねぇ?」とおしゃべりしていると、「デデーン! ブタA、逮捕」と鳴り響く店内。日テレ系の「笑ってはいけないシリーズ」のパロディになぞらえ、香港の現状を描写しているようだ。今、香港は「絶対に政府の悪口を言っちゃいけない国24時」状態。でもそんな、粛清をケツバットでたとえないでも……。

 いや、ありがたい。ヘヴィなテーマもこれでハードルが低くなった。今シーズン、実はこの回を一番楽しみにしていたのだ。

今の香港は「刀が首に置いてある」状態

「なんでこんなにあたしたち、いい子なの!?」(YOU)

「いい子」とは、決していい意味で言っているのではない。なぜ、不平不満があっても日本人は怒りを露わにしないのか? という問いかけだ。ある意味、政治家にとって都合のいい国民と言える。もちろん、ミャンマーや中国と比べて日本はまだ平和という現実もあるだろう。

 今回は、香港から来た2人の男性がゲストだ。実際に香港のデモに参加したアンディさん(20代)とレオンさん(30代)である。リモート出演かと思ったら、彼らは留学生のよう。心配なのは2人のプライバシーだが、日本にいるならかろうじて守れそうだ。もちろん、顔出しはもってのほか。命を懸けた“ブタさん人形”というモザイクを使っての出演である。いつも以上に声の加工もすごい。とにかく、この出演が彼らの不利益にならないように。

アンディ 「(香港では)政府に反することを言ったら逮捕される法律が去年できたので」
レオン  「だから、顔出せば『終わりだ~!』みたいな感じ(笑)。たとえて言えば、刀が首に置いてあるみたいな」

「刀が首に置いてある」、すごい表現である。でも、昨年はミシュラン現役調査員の身元も漏らさなかった同番組だ。そこはきっと、しっかりガードしてくれるに違いない。

 今、香港は中国政府の圧力により自由がどんどんなくなっている。言いたいことが言えない状況に反対し、デモが起きているのだ。番組は現在の香港を解説した。

「香港が中国に返還されたのは1997年。それから50年間は自由な社会が保証されるはずでした。しかし近年、その自由を中国が認めなくなってきたのです」

「50年は現状維持」に関する解説だけで、中国政府から抗議が来かねない。ゲストの2人だけでなく、番組スタッフも大きな覚悟で臨んでいるようだ。

 デモを起こすと危険な目に遭うこともある。浴びるとやけどのように赤くなるペッパースプレーを警察から噴射されたり、燃焼作用のある催涙スプレーを吹き付けられたり。やることがえげつなく、非人道的すぎる。最初から危害を加える気満々だ。デモ参加者は2リットル入りペットボトルの水を2本持参し、何かを浴びたらそれで洗い流す対策法をとる。水分補給以外で水が必須装備になるのは、国が異常事態だから。

 しかも、相手は警察だけじゃない。木刀を使い、デモ隊を無差別に襲撃する集団も現れたのだ。日本で“謎の白シャツ集団”として報道された者たちのことである。海外はデモで死者が出たりするが、当事者の話を聞くと納得する。香港でデモ参加者は黒い服を着る暗黙のルールがあり、帰途で襲われないため、普通の服に着替えてから帰宅することを習慣づけていたという。

「あのときは日本のユニクロがめっちゃ商売できて。Tシャツは安くて、着替えもしやすい。だから、お金持ちの人が10着くらい買って配ってました」(レオンさん)

 ユニクロの繁盛話はよく聞くが、香港については背景が背景だけに言葉が詰まった。

 香港の取り締まりの厳しさはデモに限らない。例えば、ネットや電話は監視されているのが前提。だから、みんな隠語を使う。「デモに行く→ピクニックに行く」、「火炎瓶を持っていく→火魔法」と、変換しながら会話するのだ。今の時代に暗号なんて、民間人のほうがスパイみたいだ。陸軍中野学校じゃないんだから……。

 記録が残るとヤバいから、電車やバスは現金がマスト。行動履歴から追跡されかねないからだ。ICカードは使わない。電子マネーの普及が進んだのは統制が目的にある? と、日本人でさえ勘繰りそうになる。

1234
ページ上部へ戻る

配給映画