『家、ついて行ってイイですか?』お祭り好きの独身貴族が泣きながら浅草を離れる理由
#テレビ東京 #家、ついて行ってイイですか?
11月3日放送『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)は、題して「訳ありの愛で……人生激変SP」であった。このコロナ禍によって人生が激変した人もきっと多いはずだ。
“お祭り好きぼっち”の彼は定年まで浅草定住を夢見ていた
番組スタッフはJR川崎駅前で催される日本最大のハロウィンイベント「カワサキハロウィン」に出向き、取材させてくれる人を探すことに。ちなみに取材日は2019年10月27日で、仮装パレードは約12万人を動員するほどの賑わいだった。密は当たり前だし、誰もマスクをしていない。しかしこの頃、中国の武漢ではすでにウイルスが発生していたのだ。当時はこんなに盛り上がっていた同イベントも、コロナやモラル低下を理由として今年8月に終了が発表され、24年の歴史に幕を下ろした。
でも、2019年はまだ平穏である。何しろ、頭部に刃物が貫通して流血したドラえもんという、とんでもない仮装をした男性がいたのだ。テレ朝では絶対映らないであろうコスプレもテレ東ならば大丈夫。「家、ついて行ってイイですか?」と尋ねると、彼は取材を承諾してくれた。
男性の年齢は42歳で、ゲームのキャラクターや背景を作る会社に勤めているそうだ。自宅があるのは浅草で、もう18年も住んでいるという。
「お祭りが大好きなので、浅草にいると三社祭とかほおずき市とか朝顔市とかがあるんで」
三社祭では御輿を毎年担ぎ、7~8月は毎週末花火を見に行く“お祭り男”である。こういう人ほど自粛要請はキツかったはずだ。
彼の1DKの自宅に足を踏み入れると、物に溢れている。レアなフィギュアを収集しているし、独身貴族はお金使い放題だ。しかし、失礼ながらこれでは女性を招けないだろう。
――彼女は?
「いないです。結婚もしてないです」
お祭り好きでぼっち、そう表現するのは失礼だろうか。「誰かと一緒にワイワイしてるほうが寂しくない」が、彼がお祭りを好きになった理由だ。
「友だちはいっぱいいるんですけど、みんな家庭を持ち始めているので夜オールでハロウィン行ったりとかはやっぱり難しいのかなという感じです」
イベントで意気投合した人とその場で写真を撮り、「来年も会おうね」と約束を交わす。そんな付き合いがあるから長年ここに住み続けた。彼は浅草の暮らしを「楽しくてしょうがない」と語った。
「定年するまであと20年はずっとここにいたいと思ってて」
お金に替えられない自由を彼は満喫している。実家のご両親は「青春真っ只中、楽しんでるんだね」と、息子を温かく見守っているそうだ。
この取材から1年11カ月後、番組は浅草にある男性の自宅を再訪した。果たして、変化は起こっているのだろうか。断捨離したか? 彼女ができたか? いや、違う。室内は物が片付けられてさっぱりしており、玄関にはダンボールが積んであった。
「大きな決断をしまして……引っ越すことになりました。44年生きてた中で一番大きな決断です」
ずっとここにいるのではなかったのか? 事実、名残り惜しそうなのだ。ガスコンロを一度捨てたものの、寂しさのあまり取りに戻ったほど後ろ髪を引かれている。
「親が今80歳なので『年取ったなあ』というのがあって。母ちゃんなんか脚が悪いので、両親が元気なうちに一緒に過ごすのが一番いいかなと思って。自分だけ東京にいて遊んでばっかりじゃいけないなと思いました」
引越し当日、「浅草は最高でした」と口にした彼は涙を流していた。下町に慣れると、なかなか離れられなくなる。でも、一人息子ならば思うことも多いはずだ。大好きな浅草からの引っ越しの理由は、親孝行だった。
あと20年いたかった浅草を離れ、実家である茨城に彼は向かう。今まで勤めていた会社は1カ月前に退職したそうだ。茨城には何のあてもなく、1から職探しを始めなければならない。ゲームのデザインならリモートでも続けられそうだが、そうもいかなかったようだ。社会復帰できるか、他人事ながら心配である。ただ、これからは家賃は0円。農業という選択肢だってあるだろう。そして、茨城では彼女さんを見つけてほしいと思った。
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