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『関ジャム』B’zの「ultra soul」問題! 宇多田、スピッツ、ミスチル…レジェンドたちの“最強ベスト10”が薄味過ぎた?

ミスチル・桜井和寿による狂気の歌詞世界

 考えてもみてほしい。ミスチルから10曲だけなんて、とても選べない。20曲でも難しい気がする。彼らならベスト30をやったとしても大丈夫だ。選者たちが悩みに悩んだであろう、今回のランキングは以下だった。

1位:Tomorrow never knows
2位:innocent world
3位:HANABI
4位:HERO
5位:CROSS ROAD
6位:シーソーゲーム
7位:Sign
8位:しるし
9位:ニシエヒガシエ
10位:終わりなき旅

 なんだ、この強すぎる打線! すごい才能だ。何しろ、「Everything(It’s you)」「Over」が入っていないし、プロが好みそうな「名もなき詩」「himawari」も入っていない。

 特に、「名もなき詩」は1位を獲得してもおかしくない人気曲である。爽やかに歌い上げながら、歌詞を読むと狂気を孕んでいるのは桜井和寿・歌詞世界の真骨頂。不倫問題を抱えた時期に「愛はきっと奪うでも与えるでもなくて 気が付けばそこにあるもの」なんてフレーズを書くとは、やはり彼はとんでもないと思う。

 10位がいきなり「終わりなき旅」というのも層が厚すぎる。9位の「ニシエヒガシエ」も予想外だった。後者はミスチルにしてはかなり攻めた曲調で、なかなかに聴く人を選ぶ楽曲である。こういった曲のランクインはうれしい。

 一方、「HERO」「HANABI」は意外だった。前者は小脳梗塞を患った桜井の入院を経て復帰後初めて出した楽曲。後者はミスチルの華々しいカムバック曲であり、同時にミスチルがミスチルらしいヒットを記録した最後のシングルだ。実のところ、どちらも彼らのディスコグラフィーの中では際立った出来ではない印象。8位の「しるし」も、ファンならあまり選ばない曲だ。こう見ると、ゼロ年代にミスチルはかなりバラードへ寄ったのだと再確認できる。

 初のミリオンセラーヒット「CROSS ROAD」は5位にランクインした。この曲で大ブレイクを果たし、その後に続く2位「innocent world」がミスチルからのダメ押しとなる。「CROSS ROAD」の後に出たこの曲で「彼らは本物だ」と確信したリスナーは絶対に多かったはずだ。これほどのキャッチーさと清涼感は、“ザ・小林武史”とも言えるか。

 そして、「Tomorrow never knows」。衝撃だった。別格である。納得の1位、決して色褪せない。ちなみに、桜井はこの曲をたった3時間で書き上げたと聞く。スティングの「Englishman in New York」を下敷きにしたであろう同曲は、壮大なスケール感に満ち満ちている。こんなに「凄い!」と圧倒される曲と出会うことは、今はもうなくなった気がする。

 どんなランキングを作ったとしても、「あの曲が入ってない!」という声が最も多くなるのはミスチルだと思う。代表曲が多すぎるため、圧倒的に枠が足りない。まるまる2時間を掛け、ミスチルだけでベスト50を放送することも可能である。

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