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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 元芸人語るトーク番組のトラウマ級の難しさ

くりぃむ上田『トーク検定』ほか新トーク番組続々! 元芸人語るトラウマ級難しさ

若手にはさらなる恐怖のアドリブトーク

 パニックに陥るという点で、一番多いのはアドリブのトークだ。

 22日に放送された『上田晋也VS人気芸人』ではそのアドリブ力がかなり試されていた。

 エピソードトークが一通り終わると、上田さんが「〇〇はそんな話ないの?」と問いかけるシーンがいくつか見られたが、番組後半はほとんどがアドリブであった。さすが“トーク検定”という名前の番組だけあり、ウケないところもそのまま放送している。

 ただ勘違いしないで欲しいのは、番組中人気女性芸人・ぼる塾のきりやはるかさんが滑っているという見せ方をされていたが、彼女はキャラクターもあり、滑ろうがウケようが関係ない。むしろ何を考えているかわからないのが良しとされるキャラなので、訳が分からず滑っているほうが彼女としては正解だ。

 MCの上田さんも彼女が滑るとわかっていても話を聞くし、つっこむ。これが本当に滑ってしまい場の空気を壊すようなキャラであれば、あそこまで話を振ることはしない。ウケないところもそのまま放送しているというのは、トーク終わりでこれといったフォローもなく、笑いも少ないメンバーのことだ。さらにやばい芸人は、トークしてないことになっている。

 つまり画面には映っているが、まったくトークしていない芸人こそが。本当に滑っているということになるのだ。さすがのトーク検定でも本当に滑っている人は放送しない。だからいるかどうかわからない芸人が、真のやばかったメンバーということになる。

 正直トークが苦手だという若手芸人は多い。しかし、僕から言わせてもらうと今は随分と楽な時代になっている

 たとえ滑って変な空気になったとしても必ずMCが助けてくれるし、ボケなかったとしても「ボケろや!」とつっこんでくれるはず。普通の話をしても「マジメか!」と言って笑いを起こしてくれる……正直この時代だったらどれだけやりやすかったか!

 僕が若手のころに大御所と一緒にトークをする機会があったが、ほとんどの大御所はボケとしてのクオリティが低かったり、ボケが浮かばずにパニックになっていると何もしゃべらずに無視をして、一呼吸おいて次の話をし始める。

 どういうことかおわかりだろうか?

 それは編集でそこをカットしてもらう間、つまり今の話はオンエアで使わないということなのだ。今のように使うか使わないかわらないが、とりあえず突っ込んでくれるなんて先輩はいなかった。本番中に無視をされ、使われないという現実を突きつけられることがどれだけきつかったか。はっきりいってトラウマになるレベルで、それで芸人を辞めていった者も少なくはない。

 今は本当に優しい時代になっている。昔のように無視をする先輩は少なくなっていて、どんな事をしてもフォローをしてくれると思えば怖いものなんてない! 何もしなければ0だが、何かすれば最低でも1になる。自信があろうが無かろうがとにかくやるべし!

 甘い時代に甘ったれない芸人になることが売れる為に必要とされる第三のスキルであり、最も意識すべき事なのかもしれない。

 

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2021/11/03 18:00
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