【澤田晃宏/外国人まかせ】誰が高齢者のオムツを替えるのか? 在留資格が乱立する介護の限界
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排泄からカラオケまで特養のネパール人介護士
先述の通り、外国人介護士が活躍する事業所は現状では全体の10%未満と少ないが、今後はすでに「外国人まかせ」になっている農業や建設業界のように変わっていくのだろうか。
山梨県南アルプス市の特養「櫛形荘」は1月、初めて実習生を受け入れた。コロナの影響でひとりは入国待ちだが、合計2人のネパール人を採用した。施設長の福田修さんは、
「以前は県内の専門学校から新卒学生を採用できていましたが、昨年からは介護実習に来る学生もゼロ。人手不足を派遣社員で補うも、40代以上の無資格の方が中心で、1年も続かない。3年ほど前から外国人の採用を考え始めました」
外国人採用のセミナーに足を運んだり、海外の日本語学校を訪れたりする中、実習生最大の供給国であるベトナムではなく、ネパールからの受け入れを決めた。
「これから10年、15年、定着して働いてもらうことを考えたとき、経済成長著しいベトナムは難しいと考えました」
同特養の実習生の監理を行う山梨メディカルケア協同組合(山梨県南アルプス市)の飯久保貴理事長は、こう話す。
「言葉のハンディはあるかもしれませんが、上げ膳据え膳で育った今の若い日本人とは違い、高齢者の世話は自然とすることができる。人材の質の部分でも、外国人介護士が期待されています」
櫛形荘で働き始めたネパール人のシリス・マガル・チャンドラさん(22歳)は「人に喜んでもらえる仕事で、やりがいがあります。安心して、安全に暮らせる日本で長く働きたい」と話す。
施設の入居者の平均年齢は88歳。要介護度は平均4.18。朝は朝食の配膳と食事介助から始まり、オムツの交換や入浴の介助、入居者とのカラオケなどのレクリエーションまで、すでに仕事は一通り自分で行えるまでになっている。
櫛形荘では外国人介護士の受け入れの際に、入居者の家族を集めた「家族会」を実施した。入居者とその家族に向けて挨拶をしたチャンドラさんに対し、 「遠い国から来てくれてありがとう」
施設に親を預ける家族からは、そんな言葉をかけられたという。
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