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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > HBO『ホワイト・ロータス』風刺が痛快!
世界は映画を見ていれば大体わかる #22

HBO『ホワイト・ロータス』搾取する側される側双方クズが織りなす風刺が痛快!

わがまま放題の富裕層宿泊客に、ホテルの支配人がついに…

 娘のオリヴィア(シドニー・スウィーニー)と旅行についてきた彼女の友人パウラ(ブリタニー・オグレイディ)は意識高い系娘で、他人の容姿や行動に難癖つけては嘲笑する、一言でいうと……嫌な連中で、弱者に上から目線で同情しつつ、立場の弱い弟クインのことは軽視し、寝室が足りないからとクインを台所に閉じ込め、2人でこっそりドラッグや興奮剤でトリップして憂さ晴らし。その頃クインは夜ビーチにベッドを置いて、ポルノ動画でセルフバーニング!

 実業家だが精神面に不安のあるタニヤ・マックワッド(ジェニファー・クーリッジ)は、母親の骨壺を手に「遺灰を撒ける場所はあるかしら」なんて聞いてくる情緒不安定女性だが、マッサージ師のベリンダ(ナターシャ・ロスウェル)のスパ・セラピーを受けて感激。母親に虐待されて今も精神が不安定なのだと、打ち明け話までする。母親に虐待されながらも依存していた彼女は、今度はしぶしぶ相談相手になってくれているベリンダに依存する。

 そんな富裕層らの尊大かつ傲慢な要求に必死に応じようとする従業員たちは次第にイライラを募らせる。くっきりと搾取する側とされる側の構図が浮き上がるのだ。

 支配人といっても所詮は雇われ人のアーモンドは、富裕層の我儘に応じなければならないプレッシャーに押しつぶされ、遺失物として届けられたパウラのバッグに各種ドラッグがてんこもりなのを発見。するとそれをこっそりしまい込み、ガマンの限界に達したら興奮剤をガブガブ飲んでハイに!(おいおい)さらに予約のダブルブッキングなどのミスから、禁じていた酒に逃避する。

 ベリンダはタニヤの遺灰を撒く手伝いまでし、うまく彼女の依存癖を利用してスパの開業資金を引き出させようとするが、タニヤは偶然知り合った独身男性に惹かれていき、「本当の私、たまねぎの芯を見せたら彼はドン引きよ。嫌われるわ!」とめんどくさいにも程がある相談にも付き合う。開業資金のためならウザイ白人女の身の上話だって聞いてやるわ!

 が、そんな努力も報われず依存相手を男に切り替えたタニヤはわずかな金を渡して去っていく。裕福な白人女性って結局わずかな金でなんでもかんでも解決ってこと?

 表向きは友人でありながらその実、搾取する側、される側の関係でしかないオリヴィアとパウラ。ハワイの原住民男性でホテル従業員のイケメンといい関係になったパウラが許せず、男に色目を使うオリヴィア。彼女はパウラの彼氏を寝取ったこともあり、友達といいながら有色人種であるパウラより上に立ちたくて仕方がない。労働者を搾取して成功している母親に毒づきながらも結局は、白人優位社会の甘い水を啜っているだけのオリヴィアに、反発するパウラはイケメン従業員が自分たちの土地をホテルのために奪われながら生活のためにそのホテルで働くしかないという現実に同情(しているように見えるが、本当のところはオリヴィアへの反抗のため、彼を利用しただけかも)し、ある悪だくみを仕掛ける。

 新婚妻のレイチェルは、シェーンの特権階級ならではの考えや意見に苦しめられ、彼が母親を呼び出して楽しそうにしているマザコンぶりに幻滅(新婚旅行に母親呼ぶなよ!)。何より彼の考えは母親の影響であることを知り、特権階級と労働者階級の間に聳え立つ壁の存在を認識する。この結婚は過ちだったのかも?

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