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世界は映画を見ていれば大体わかる #22

HBO『ホワイト・ロータス』搾取する側される側双方クズが織りなす風刺が痛快!

HBO『ホワイト・ロータス』搾取する側される側双方クズが織りなす風刺が痛快!の画像1
『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』U-NEXT 公式サイトより

 抜けるような青空、どこまでも続く青い海。ここは南国の楽園ハワイ。高級リゾートホテル「ホワイト・ロータス」で休暇を楽しもうとする旅行客と、彼らをもてなす従業員たち。夢のような光景の下には、どす黒い現実が横たわっていた。

 米HBOで7月に放送され好評を博したドラマ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』がこの10月、早くもU-NEXTの独占配信という形で日本に上陸した。

 ハワイ! 行ったことありますか。筆者は近所にあった喫茶店ハワイしか行ったことありません。ハワイのイメージは、芸能人が正月に行くところです。誰かが「売れている芸能人は正月にハワイに行く。売れてないやつは正月に仕事をする」って言ってましたよ。本作はそんな格差社会の象徴(?)ともいえるハワイのリゾートホテルを舞台に、持つものと持たざるものの絶望的な差を炙り出す。

 ホテルの宿泊客はいずれも富裕層。雑誌ライターのレイチェル(アレクサンドラ・ダダリオ)は、不労所得で優雅に暮らす親の影響を受けたお坊ちゃま、シェーン(ジェイク・レイシー)の玉の輿に乗ったが、仕事で成功する夢を捨てられない。しかしシェーンからは「あくせく働く必要なんかない、僕と結婚したんだから貧乏人みたいな真似はよせ」と上から目線で言われるだけ。

 シェーンは単に親が裕福というだけの七光りボーイだが、周りが傅くのは当然とばかりにあらゆる要求をごり押しする。予約した部屋のグレードが違うと支配人のアーモンド(マーレイ・バートレット)にクレーム。妻が別に気にしないわと言っているのに「こっちは金を払ってるんだぞ」と不満タラタラ。金を払っているのはシェーンではなく母親なんだけど……我儘放題のボンボンに悩まされる従業員にアーモンドは「客を神経質な子供だと思え」とアドバイス。その通りでシェーンは子供のまま大きくなっただけに過ぎない。

 女性実業家として「実業界をぶっ壊す女性10人」という記事にもなったニコル(コニー・ブリットン)らモスバッカー家は、一癖も二癖もある面々。夫のマーク(スティーブ・ザーン)は妻ニコルより稼ぎが少ないことを引け目に思っている。厳格で男らしかった亡き父を見習ってコミュニケーションが苦手でネットとゲームが友達の息子クイン(フレッド・ヘッキンジャー)に男らしさをアピールしたいが、旅行直前に金玉が腫れあがる(!)病気にかかり、父と同じ死因の精巣がんを疑って沈み気味。

 医者からの電話でがんではなかったことがわかり一転、ハッピーに。しかし叔父から父の死因はがんではなくエイズで、家族にゲイだったことを隠していたと明かされて、再びどん底に落ち込む。別にゲイだから男らしくないってことにはならないと思うんだけど。

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