おぼん・こぼんのブレークは高齢芸人たちの希望となるのか? 葛藤の先にあった「電撃和解」
#おぼん・こぼん
つい最近まで、世間からすっかり忘れられていた昭和の人気漫才コンビ「おぼん・こぼん」。だが、人気番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で2人の不仲説が取り上げられたことで、再ブレークの兆しを見せている。
「これまで『水ダウ』では「おぼん・こぼん」の不仲説を何度か取り上げてきましたが、10月6日に放送された回で2人が電撃和解を果たしたことで、その後、テレビ局から仕事のオファーが殺到しています。彼らが出演する演芸場も満員ですし、お笑い第7世代が急成長するなか、昭和の漫才コンビが蘇ることができるか、注目されています」(お笑い関係者)
大阪の高校時代に同級生だった「おぼん・こぼん」は、1965年にコンビを結成。その後、いち早く上京して、『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)に出演。今でこそ、関西のお笑いの東京進出が当たり前になっているが、当時は勇気ある決断だった。しかも、そこで10週勝ち抜き、見事グランプリを受賞した。
時代はすでに、ビートたけしのツービートらが漫才ブームを牽引していたが、同時期に『お笑いスター誕生!!』で活躍していたB&Bの島田洋七は、ある時『おぼん・こぼん』から不仲の連絡を受けていたという。
「何年か前におぼんさんから“コンビの仲が悪くなった”と連絡が来たんです。コンビは、女房よりも、一緒にいる時間が長い。ときには喧嘩もするし、仲が悪い時期もある。僕と相方の洋八もそうでした」(洋七)
おぼん・こぼんが不仲になった直接的な原因は、2015年、漫才協会で行われた理事を決める選挙。2年に1度行われる理事選の投票で上位13人が無条件で理事になるが、それまで、おぼんを上回ることがなかったこぼんが、15年の選挙で3位となり、4位のおぼんを上回ったことだという。
これに激怒したおぼんが、その後1年間、漫才協会に来ず、その間、こぼんが理事会に参加したというが、事情に詳しいオフィス北野の元マネジャーは、「おぼんさんは、人見知りするこぼんさんに代わって、漫才ブームのときにお世話になった(ビート)たけしや(島田)洋七さんへの連絡、テレビ局の人への挨拶を欠かさず続けていました。2人が今あるのは、おぼんさんの気遣いの賜物ですよ」と証言する。
しかし、その後も2人の不仲は改善するどころか、舞台上で喧嘩をするまでに至ったこともあって、後輩芸人のナイツが、『水ダウ』で“仲直りプロジェクト”を企画。しかし、ナイツの仕掛けた“解散ドッキリ”にこぼんがへそを曲げたことで、関係はさらに悪化してしまった。
実は当時、その後も出演依頼を続けてくるテレビ局に困惑したおぼんが、再び洋七に相談してきたという。
「“仲が悪いということネタに、テレビ局から出演依頼がある。出てもいいんですかね?”と聞いてくるから、僕は“マスコミに取り上げられて良かったやん”と言ってやったんです。漫才ブームのときに活躍した後、今も残っているのは、ビートたけしくらい。僕をはじめ、ロートルの漫才師は、存在すら忘れられている。仲が悪いだけで、ダウンタウンの番組に出られる。ラッキーだと言ってやりました」(島田洋七)
“おぼん・こぼん THE FINAL”と銘打たれた6日放送の『水ダウ』の企画は、こぼんの娘の結婚式で、2人に仲直りしてもらう、というもの。だが、お互い意地の張り合いでそれぞれが解散を口にする不穏な展開に。ところが、式終了後、“一生、漫才を続けていきたい”という思いが一致したこともあって、電撃的に和解。おぼん・こぼんが仲直りの上でコンビを存続させたことで、テレビ局からオフォーが殺到している。
洋七は、「ユーチューブ、ユーチューブといいますが、漫才師は地上波に出てなんぼですわ。それに、ほんとに仲が悪かったら辞めるもん」と笑う。
第7世代を筆頭に若いお笑い芸人たちが台頭するなか、たけしは「今の若い子たちの漫才は、デジタル化している」と語っている。味や経験といったものより、方法論や話術、時流に沿ったネタが重視される状況をそう評しているのかもしれないが、そんななかにあって、72歳のおぼん・こぼんが再ブレークを果たしたことは、高齢芸人たちに希望を持たせた出来事だった。
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