“開かずの踏切”問題、国交省が改善へ乗り出す!緊急対策が必要な踏切は約1800箇所指摘
#踏切
全国には539カ所の“開かずの踏切”がある。それだけではなく、自動車や歩行者の交通量が多く、安全性が懸念される踏切は1336カ所にも及ぶ。
国土交通省は10月15日、「緊急に対策の検討が必要な踏切」を公表した。これは、4月に施行された「改正踏切道改良促進法」で創設された「改良後の踏切道に対する評価」を実施した結果を公表したもの。
国交省では06年8月に、既存のデータなどから先行的に早期に点検する必要性が高かった約2600カ所から緊急に対策の検討が必要な踏切1820カ所を抽出、改善に乗り出した。
この背景には、踏切での事故の減少が緩やかにとどまっている背景がある。踏切事故は、00年に468件だったが、20年間で19年には211件にまで54.9%減少した。しかし、死亡者数は00年の140人から19年の84人、負傷者数は148人から132人と大きな減少を示していない。(表1)
国交省では06年に続き、07年に残る踏切約3万3000カ所について点検、これにより国内の全踏切約3万6000カ所の点検を行った結果、緊急に対策の検討が必要な踏切140カ所を新たに抽出した。
この結果、07年4月に「速効対策の検討が必要な踏切」約1200カ所、「本対策の検討が必要な踏切」約1400カ所を抽出した。
「速効対策」とは踏切の歩道拡幅、立体横断施設の整備、遮断時間の短縮を図る賢い踏切の導入など効果が早期に発現する踏切交通の円滑化、安全性の向上を図る対策。「抜本対策」とは連続立体交差化など、踏切自体を除却することにより、踏切問題を抜本的に解消する対策だ。
国交省では、踏切の状況を以下のように分類している。
・開かずの踏切―ピーク時の遮断時間が40分以上の踏切
・自動車ボトルネック踏切―自動車の交通量が多く、渋滞や滞留が多く発生する踏切
・歩行者ボトルネック踏切―歩行者の交通量が多く、渋滞や滞留が多く発生する踏切
・歩道が狭隘な踏切―踏切道における歩道の幅が狭く、自動車や歩行者、自転車の交通量が多い踏切
・通学路要対策踏切―通学路で通学路交通安全プログラムに位置付けられ、通行の安全を特に確保する必要のある踏切
・事故多発踏切―直近5年間に2回以上の事故が発生した踏切
・移動等円滑化要対策踏切―鉄道と高齢者、障害者等の移動の円滑化の促進に関する法律で定められた特定道路とが交差している場合に、移動円滑化の促進の必要性が非常に高い踏切
当然のことながら、これらの基準にはより詳細な基準が設定されているが、ここでは割愛する。ただ、これらの踏切は抵触する基準が複数あるケースが多い。例えば、自動車と歩行者のボトルネック踏切などだ。そこで、重複を除いた問題のある踏切数では、07年4月の公表数は1960だった。
16年6月に、その後の対策の進展等を踏まえた見直しを行うとともに、新たに、通学路における 対策が必要な踏切や事故が多発している踏切を追加し、アップデートした。この時点で緊急に必要な踏切は重複を除くと1479カ所となった。
そして、21年10月の調査結果では、対策の実施や踏切における交通量、遮断時間、事故の減少により課題が解消された踏切がある一方、鉄道とバリアフリー法に基づく特定道路とが交差している場合における移動等円滑化の促進の必要性が特に高い踏切(移動等円滑化要対策踏切)を新たに追加した結果、緊急に必要な踏切は重複を除くと1336カ所となった。
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