トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > コント師が売れる“らせん構造”

空気階段もぐら「このままじゃ借金がなくなる」 コント師が売れる“らせん構造”と元祖クズの帝王・蛭子能収の今

有吉弘行「お元気じゃないんでしたっけ?」

 芸人ではないけれど、芸人の近くで仕事をしてきたテレビの中の“クズ”キャラといえば、少し前まで蛭子能収の存在は大きかった。近年はそれが“ゆるさ”としてポジティブに評価されていたけれど、もともとは、ギャンブル好きはもちろん、葬式で笑いをこらえられないといったエピソードでも知られてきた。賭け麻雀で現行犯逮捕された過去もあるのは周知の通りだ。

 そんな蛭子に軽度の認知症が見つかったのは2020年のこと。健康番組への出演がきっかけだった。当時、蛭子は「(仕事は)できなくなったらしょうがないけど、できる間はずっと続けていきたい」と語り、漫画だけでなくテレビの仕事を続けることにも意欲を見せていた。もちろん、「できれば(漫画より)テレビの仕事のほうがいい。そのほうが楽そうだから」と付け加えながら(『主治医が見つかる診療所』テレビ東京系、2020年7月9日)。

 しかしその後、蛭子の姿をテレビで見ることはほとんどなかった。蛭子の側の体調もあるだろうし、テレビの側の受け入れ方が難しい面もあったのかもしれない。蛭子のテレビからのフェードアウトと重なるようにして、若手芸人が“クズ”要素を担い始めた。

 そんな蛭子が、11日の『有吉クイズ』(テレビ朝日系)に出演。有吉弘行とロケで対面するシーンがあった。有吉は過去に、「ご本人とご家族がOKだったら(テレビに)出るってわけにはいかないのかね。やっぱ笑えないのかなぁ」「またご一緒したいなとは思う」と語っていた(『マツコ&有吉 かりそめ天国』テレビ朝日系、2020年7月17日)。今回の共演に至るまで、有吉は何度か蛭子サイドにオファーしてきたらしい。念願が叶っての共演だったようだ。

 待ち合わせ場所に先に着いていた有吉。遠くから蛭子が歩いてくるのを見ると、「相変わらずだ」とつぶやいた。お互いに軽く挨拶を済ませると、有吉は蛭子に尋ねた。

「お元気じゃないんでしたっけ?」

 久々に会った者同士の一般的な会話では「お元気ですか?」などとやり取りするタイミングでの「お元気じゃないんでしたっけ?」。スタジオの小峠英二(バイきんぐ)が「なんちゅう聞き方してんですか」みたいにツッコんでいたけれど、その後も「アレは覚えてます? 賭け麻雀で捕まったことは」と聞いたり、蛭子のズレた発言にツッコんで笑い合うなど、以前とあまり変わらないような形で蛭子に接する有吉が印象的だった。もちろん、以前よりブレーキをかけている部分もあるのだろうけれど、それをあまり感じさせないというか。

 いずれにしても、終始笑顔の蛭子。なお、VTRを見る限りいろいろ忘れている記憶がある様子の蛭子だったけれど、賭け麻雀について聞かれると「それは覚えてる」らしい。

「ところどころ、やっぱり『アレなんだっけなぁ』って考える時間が長い瞬間はあるんだけど、話してて冗談もすごいわかるし、蛭子さんのダメなところも変わってないし、素敵なところも全然変わってないし、いつもの蛭子さんで。ホントすごく嬉しかったです」

 有吉は蛭子との久々の対面をこう振り返った。認知症になった蛭子を気にかけつつ、かといって“聖人”として祭り上げるわけでもなく。「素敵なところ」だけでなく「ダメなところ」も含めて「いつもの蛭子さん」と語る感じが、仕事として付き合いのある人間の程よい距離感という気もする。

――みたいな感じで有吉を“聖人”扱いするのも違う気がするので、急いで付け加えたい。蛭子に会う直前、公園を歩きながら唐突に1人で茂みに分け入ってカニを捕まえようとする(そしてカニには逃げられるも残されたツメに親指を挟まれたまま「イテー! こりゃイテー」と叫び続ける)有吉はどうかしている。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

サイト:記事一覧

Twitter:@inyou_te

いんようてれび

最終更新:2021/10/20 12:00
12
ページ上部へ戻る

配給映画