『晩春』小津安二郎の” 嘘を美しく魅せる表現技法が圧巻! 何気ない風景の連続から読み取る物語
#小津安二郎
皆さんこんばんは、宮下かな子です。
長年、1番好きな季節は夏だと答えていましたが、私、秋が1番好きかもー!なんて思う今日この頃。気温が高い日でも、スッと通り過ぎていく風が心地良くて過ごしやすいです。日中はほとんど稽古場なのでなかなか外に出ることがなく、秋満喫は出来ていませんが、夜の帰り道の気温だったり、休憩中窓を開けて、ふと見上げた空に浮かぶ羊雲が秋らしいなぁなんて思ったりしています。気温差が激しいので、皆さんも体調管理は充分にお気をつけください。
さて、出演する舞台『手の平』は23日の初日に向けて稽古の毎日です。9月下旬からスタートしちょうど1カ月経過した稽古も、もうあと残りわずか。今週土曜にはお客さんの前に立っているのだと思うと、まだまだ焦りを感じます。久しぶりの舞台出演、想像以上に厳しい稽古でしたが今回改めて、自分のお芝居との向き合い方を考えさせられました。
演出の和田さんに何度も繰り返し言われたのは「本当に本気でそこに生きてるか?」「本気で生きて出た台詞か?」といった言葉でした。
稽古初日が明けてから約2週間本読みという特殊な形式で始まったのですが、字を目で追う本読みであっても本気で芝居を、というこの時点でかなり苦戦し、立ち稽古が始まってからも何度もこの言葉を投げかけられました。指摘された箇所を思い返してみると、確かにその時雑念があったり、感情の繋がりが途切れたりしていて、それを鋭く見抜かれているんです。エキストラからお芝居を始めて今年で約6年目になる私。今まで何となく見過ごしてきたものをここにきてようやく、他者から指摘を受けて役へ没頭する想いの弱さというか、甘さを実感しました。
お芝居って、本当難しい。自分の心と向き合う機会にもなり、本当に有難いです。これを機に本気で芝居と向き合い、精一杯私が最大限にできることを全て尽くして舞台に立とうと思っています。23日から31日まで、新宿シアタートップスで上演しますので、是非お待ちしております。ご予約受付中です!
怒涛の毎日を過ごしているので、穏やかで日常を描いた作品を観たかったという理由と、舞台『手の平』が家族の物語であることにちなんで、今回は小津安二郎監督『晩春』(1949年松竹)をご紹介します!
小津作品はどれも大好きですが今回ご紹介する『晩春』は、私が卒業論文で扱ったこともあってかなり思い入れがある作品。何度も鑑賞した作品ですが、今回2~3年ぶりに観返しました。小津監督はミリ単位で小物を置く配置を決めたり、人物の動作を決めているので、映し出される全てに意味があり考察するのがとても楽しいのです。卒論では衣装だったり、謎に映し出される壺のカットの意味だったりを考えながら父と娘の関係性を考察したような記憶がありますが、小難しいことはさておき、楽しくご紹介しようと思っています!
〈あらすじ〉
母は早くに他界し、父・曽宮周吉(笠智衆)と一人娘・紀子(原節子)は鎌倉に2人で暮らしている。27歳になる紀子は、父を心配し結婚しようとしない。ある日、紀子の叔母・まさ(杉村春子)から、紀子へ縁談の話が入り……。
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