“密フェス”への心情も吐露!川崎生まれのラッパーKOWICHIがキャリア10年を迎えた心の内
#インタビュー #ヒップホップ #KOWICHI
貫き通した10年間のキャリアと『NAMIMONOGATARI』出演後の心情
――もうすぐソロ活動も10年目を迎えるタイミングですが、KOWICHIさんにとってモチベーションというか、自分を動かす最大のエネルギーって何ですか?
KOWICHI レーベルも会社にしたし、利益を上げなきゃいけない。でも、「何のためにやってるんだろう?」って思うときがたまにあって。自分でもわからなくなるときがあるんですよ。「めっちゃお金持ちになりたいのか」って言われたら、そんな大事なことではない気もしてる。多分、会社として目指すところと、自分個人で目指すところが違うんでしょうね。自分個人に対してエネルギーになるのは、平穏な温かい家庭を目指すという自分の夢かもしれない。でも、モチベーションに変わるエネルギーというと、「ベット(BET)しちゃう」ということかもしれない。ちょっとレベルを上げる環境下に自分を置くというか。
――自分で自分のハードルを上げる、みたいな。
KOWICHI 今、自宅と事務所、2カ所分の家賃を払ってるんですけど、俺のやる気ってそういうところから出てくるのかもしれない。その分稼がなきゃいけないから。それと、いい車を買うとか、そういうことかも。昔、Kayzabroさん(DS455)に「エスカレードとか、燃費が悪くてデカい車にも乗ったほうがいい」って言われたんですよ。そうすると、その生活が当たり前になるようになるから、って。それを今も守っている感じはあります。
――最後に、8月下旬に愛知県で開催されたヒップホップ・フェス『NAMIMONOGATARI2021』の様子がさまざまなメディアで取り上げられるということがありました。「密フェス」とも呼ばれて非難を浴びたわけですが、KOWICHIさんも出演してらっしゃいましたよね。
KOWICHI はい。あの日は控室とステージが結構離れていて、(ステージ脇までは)車で移動したんです。だから、自分の出番直前まで会場の様子がわからなかったんです。「時間です」と言われてステージに上がったら、あの状態だった。ニュースを見ていると、「観客の様子を見て、すぐにライブをやめるべきだったのでは」というような声もありましたけど、お客さんはすでにチケット代を払って会場に来ている。それに、アーティスト側へのガイドラインも、主催者からは誰も何も言われていなかったんです。だから、自分はいつも通りのライブをやった。
観客を煽っていたという点で、アーティスト側にも悪い点はあったのかもしれない。自分自身、お客さんに注意喚起するとか、もっとそこに気を遣えていたら、という気持ちはあります。命に関わる話だし、自分たちのことを見つめ直すきっかけになったとは感じてます。“汚名”みたいになってしまったこともそうだし、このニュースだけを取り上げて、ヒップホップ全体にネガティブなイメージが付いてしまうことはとても残念。世間の人が思うような、ネガティブな悪人みたいな人しかいない業界だとしたら、日本のヒップホップ・シーンはこんなに大きくなっていないはずですよね。今後は、ヒップホップに関わる人たちが違う機会で社会に貢献するアクションを起こす、そういう姿を見せていければいいのかなと思っています。それが正解じゃないかなと。
――KOWICHIさんの見ている未来は明るい?
KOWICHI どうだろう。でも、前向きに明るいところを目指しますよ。
(取材・文=渡辺志保)
KOWICHI(こういち)
神奈川県川崎市生まれ。ヒップホップグループ〈enmaku〉の活動を経て、2012年よりソロ活動をスタート。同年にアルバム『The Chips』をリリースし、コンスタントに作品を発表している。昨年12月に発売されたアルバムに新曲9曲を追加したデラックス盤『Higher(Deluxe)』がリリースされたばかり。
Twitter〈@kowichiofficial〉
Instagram〈kowichi_selfmade〉
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