『DUNE/デューン 砂の惑星』この大作をスクリーンで目撃せよ!「体感」するべきSF作品
#映画 #DUNE デューン 砂の惑星
のめり込んで観られる「体感」映画としての強度
正直に言って「権力者たちの思惑が交錯する政治劇」である序盤に取っ付きづらさがあるのは否めない。だが、この『DUNE/デューン 砂の惑星』のすごさは、徹底的な世界観の構築により、言葉でくどくどと説明せずとも、少しくらい話の内容がわからなくても、とにかく「体感」させること、それにより155分という長めの上映時間があっと言う間に思えるほど、のめり込んで観られることにあるのではないか。
SFでありながら中世を思わせる建築物、過酷な環境で生きていることを物語る衣装など、そこに「ある」ことに説得力がある。その世界の広さを存分に見せる撮影、ハンス・ジマーによる音楽もその没入感を何倍にも底上げしてくれている。「サンドワーム」という怪物の巨大さや造形、人間同士の大規模な戦闘などの見せ場も、それぞれがSF映画における頂点と言ってもいいほどの出来栄えだ。
さらにハリウッド最高峰の実力派俳優たちが揃っており、登場人物が多くてもすぐに特徴が覚えられ、それぞれの熱演がさらに作品を格調高いものにしている。特に主人公を演じたティモシー・シャラメは大画面での顔を大写しでずっと観てみたくなるほどに美しく、権力に突き動かされる消極的なヒーローでありながらも、同時に芯のある強さも感じさせる、愛らしくも複雑な役にこれ以上なくハマっていた。デイヴ・バウティスタ、ジョシュ・ブローリン、ジェイソン・モモア、ゼンデイヤなど、大作ヒーローアクション映画の出演者の意外な役どころにも注目してほしい。
ちなみに、原作者であるフランク・ハーバートは世界中を旅し、歴史を学び、また自分の周りで起こっていることからインスピレーションを得ており、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督も同様の姿勢で作品に取り組んでいったという。監督が掲げた目標は「観客を今まで行ったことのない場所へ連れて行くこと」で、それは彼自身が若いころ本を読んだときに原作小説から感じた体験だったそうだ。その目標が、映像作品として完璧と言えるほどに達成できていることに、本作の偉大さがある。
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