マヂラブのネタ一般的には微妙な評価も一歩違えば決勝進出もあった?
#キングオブコント #吉松ゴリラ
男性ブランコ「レジ袋」
大量のお菓子の袋を持っている男性と、彼が落としたお菓子を拾ってあげた男性との会話劇を描いたコント。
レジ袋代をケチったために荷物がかさばるという、平成時代にはなかった令和のあるあるネタ。
比較的ローテンポなネタのため、笑いを取れるところで確実に取らなければならないが、溜めた前フリを切ってオトす、独特な言い回しのワードセンスが抜群。
派手な演出も大掛かりな道具も一切使わず、個々
のコント能力を如何なく発揮したネタ。
ザ・マミィ「ドラマみたい」
不正を行なった社長と、それを告発しにきた部下とのコント。
ひとつのキーワードを推し、そこを笑いどころにするタイプのネタ。逆にいうとこの様なネタは、ボケの軸が「ドラマみたい」の1フレーズになる為、最後までウケ切るには良質な台本が必要。
どれだけ1フレーズの前後に、視聴者の興味を引き続けられる変化をつけられるかが勝負となるが、最後まで十二分な笑いを取り続けた。
1本目のネタと打って代わり、ほぼキャラに頼らず、その台本力が存分に発揮されたネタだった。
空気階段「メガトンパンチマン」
「自分が小学生の時に作ったキャラクターのコンセプトカフェをやっているおじさん」という、超異質な設定。仮に思いついたとしてもウケ切る難易度はかなり高い、ハイレベルなネタ。
このネタの笑いは、二種類の設定を重ねる事によって成されている。「自作のキャラクターのコンセプトカフェをやってるおじさん」という「日常の設定で、非日常のおかしいキャラがでる」の笑いと、「メガトンパンチマンの世界観」で巻き起こる「非日常設定」で作る笑いである。
ベースは「メガトンパンチマン」の世界観で形成される「非日常設定」。蛙亭でやや触れたが、「非日常設定」は少し難易度が高くなる。例えばみんなが知っている「セーラームーン」のコンセプトカフェでは、あらゆる所で「裏切り」や「共感」ボケが可能だが、誰も知らない「メガトンパンチマン」のコンセプトカフェは「おじさん次第で何でもあり」の部分が多い為、「裏切り・共感」を得るボケどころがほとんど無い。
そのため「基軸となるメガトンパンチマンの、世界観とルールを作る」作業と、「そこで作ったルールを裏切る」作業を、5分の間で同時並行的に行っている。
そして、通常ルール作りで間延びしてしまう部分に「自作のキャラクターのコンセプトカフェをやってるおじさん」の設定を使った、重量感のある笑いを組み込んでいる。おじさんのドギツいキャラクターが発する「“おじさん自身の矛盾点”や“独自の価値観の押し付け”」という人間味のある笑いを埋め込む事で、ネタ全体をより密度の高い仕上がりにしている。
キャラクターの強さと台本の強さ、双方を示したネタ。
まとめ
設定が秀逸なコントやキャラが立っているコント、ストーリーが重厚なコント……。本大会で出た歴代最高得点は、空気階段の実力はもちろんの事ながら、他出場者が本大会を常に盛り上げ続けた結果でもある。キングオブコント2021は、例年以上に「おもしろさ」を追求したネタが多く登場した、最高の大会であった。
【※敬称略】
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事