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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > おぼん・こぼんの“許し”をめぐる物語

おぼん・こぼんの“許し”をめぐる物語と、最後の最後の急展開

「おぼん・こぼん THE FINAL」

 今回の企画は2019年から2年がかりで進められてきたものらしい。仲直りの舞台としてセッティングされたこぼんの娘の結婚式が、コロナ禍で延期になったためのようだ。「おぼん・こぼんヒストリー」のロケから10日後。控室から東京スカイツリーがよく見える式場で執り行われた結婚式に、そもそもおぼん・こぼんの2人はそろって現れるのか。現れたとして、仲は修復されるのか。一部始終は「おぼん・こぼん THE FINAL」と題され、6日に放送された。

 結婚式に2人はそろうのか、という1つ目のクライマックスは、VTRが始まってわずか5分ほどでやってきた。関係者が参列した式場。新婦の入場。扉が開くと、新婦の両脇には実の父親のこぼんと、「2人目のお父さん」であるおぼんの姿があった。

 ウェディングドレスのこぼんの娘はもちろん、それを席から見守るおぼんの娘も、そろって涙ぐんだ表情を見せる。その表情を見て、テレビを見ているだけの側もなんだか安堵してしまう。そして同時に、結婚式への同時出席という山場が開始5分で早くもクリアされてしまった状況に、残りの放送時間で何が待ち構えているのか不安が募り始める。

 バージンロードを歩き終え、着席するおぼんとこぼん。そんな2人に、新婦であるこぼんの娘が「これをきっかけに、2人が仲直りしてもらえたらなと、いまこの場をお借りして、どうか仲直りしていただけないでしょうか」と語りかける。さらに、おぼんの娘が「お願い。2人で仲直りの握手してもらえないですか?」と呼びかける。

 しかし、それを受けて発されたおぼんの言葉は、例のごとく喧嘩腰のものだった。

「ごめんな。こいつが意思表示する…意思表示しないと俺は、握手はできんな。なんか意思表示せぇや」

 これまでもカメラの前で繰り返し、こぼんからの譲歩と謝罪を求めてきたおぼん。そんないつもの態度を見せる相方に対し、こぼんはいつもとは違った対応を見せた。

「普通に戻りましょうか」

 式が始まる前、カメラの前で「仲直りというよりは、普通でいいんじゃない?って。飛び抜けて、じゃあ明日からベタベタしながら、手つないで歩くわけやないしね。まぁ、普通でいいんじゃないかなと思う」と語っていたこぼん。そんな彼からの、少し遠回しではあるものの歩み寄った言葉に、VTRを見つめるスタジオの面々は事態の好転を予感したように沸き立った。しかし――

「普通ってどういう風に?」

 おぼんは頑なな態度を緩めない。「(俺を)こういうふうな(頑固な)性格にさせたのも、この男だから」と問題の原因を完全にこぼんに背負わせ、「もっと素直になりゃいいじゃん」とさらなる要求を課す。一方で、「俺は漫才が大好きだよ。人を笑わすのも大好きだよ。『楽しい漫才やろうよ』ってひと言、言やええやん。喜んでやるよ。心底嫌いやないねんから」と、好戦的な言葉の中にも、おぼんなりの歩み寄りの言葉も滲ませる。

 だが、トゲのある発言を続ける相方の態度に、譲歩の姿勢を見せていたこぼんも改めて口調が荒くなり始める。お互いに相手の目を見ず、正面を向いたまま繰り広げられる攻撃的な言葉の応酬。「どうせえっちゅうねん俺に」と言うおぼん。「ほんじゃもう辞めましょか」と返すこぼん。すると、その言葉を待っていたかのようにおぼんは席を立ち、「面倒くさい」と捨て台詞を残して式場から出ていった。

 それにしても、話している内容は目も当てられない喧嘩なのだけれど、丁々発止のテンポのいい2人のやり取り。それを見て、松本人志は「これでももう漫才になってんねんけどね」とつぶやいた。おぼん・こぼんの阿吽の呼吸すら感じさせる緊張感のあるやり取り。その掛け合いのなかで、2人は笑いではなく怒りのボルテージを高めながら、「もう辞めさせてもらうわ」とサゲに向かっていったのだった。

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