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まるで『クレイジージャーニー』!? NHKが南アの凶悪スラム街に潜入「NHKに本気でやられたらとても太刀打ちできない」

まるで『クレイジージャーニー』!? NHKが南アの凶悪スラム街に潜入「NHKに本気でやられたらとても太刀打ちできない」の画像1
『NHKスペシャル』

 2019年に不祥事によって番組が打ち切りとなった『クレイジージャーニー』(TBS系)の名物企画だったのが、ジャーナリストの丸山ゴンザレスによる危険地帯への潜入取材だ。世界各国のスラム街や麻薬売買の現場に果敢に飛び込む体当たりリポートは、同番組屈指の人気企画だったが、NHKがそれをパワーアップさせたような企画を放送し、視聴者を驚かせている。

 話題となっているのは、NHKの看板番組『NHKスペシャル』が9日に放送した「REGENERATION 銃弾のスラム 再生の記録」という放送だ。その内容は、世界有数の殺人多発エリアであるケープタウン(南アフリカ)のスラム街に潜入し、危険なギャングたちの生活をカメラに収めたもの。その映像は、思わず「同じ地球上にこんな場所があるのか」と呟かずにいられないほど、危険に満ちていた。

「番組の主役は、スラム街に潜入してスラムの再生に取り組む牧師。恐れることなくスラム街に入っていく彼に密着しましたが、カメラには、銃で車を襲う強盗、銃声に逃げ惑う一般市民、血がベッタリとついた事件現場などが収められており、登場したギャングのうち2人は殺されました。

 スラム内では鉄砲を抱えた若者たちが血で血を洗う抗争を繰り広げており、中には機関銃を持っている者も。殺したり殺されたりといったことが日常的に存在する場所への潜入リポートが地上波ゴールデンで流れたのは、極めて異例でしょう」(テレビ情報誌記者)

 番組内での説明によれば、撮影は1年以上にわたって行われ、小型カメラやスマホなどで撮影されたとのこと。“天下のNHK”が本腰を入れて潜入を試みれば、残念ながら一介のジャーナリストなど出る幕などない。

「戦争や紛争地帯などの取材には戦場カメラマンも活躍しますが、NHKの物量作戦はハンパではありません。NHKは可能な限り現場に近く、なおかつ絶対に安全なホテルの部屋をバッチリ押さえ、通訳や移動手段もガッチリ確保。移動車はトヨタのランクルが一番人気ですが、費用などお構いなしのNHKが全部押さえてしまい、“少しは他にも回せ”とモメることも少なくありません。

 今回NHKが挑戦した南アのスラム街への潜入ルポも、取材の規模とリスク、さらにコストを考えると、1人2人のジャーナリストやカメラマンのレベルでは到底無理。NHKに本気でやられたら、フリーの人間はとても太刀打ちできませんよ」(月刊誌編集者)

 ただ、ある意味でパクられた『クレイジージャーニー』も、ここに来て一筋の光明が差してきた。やらせ騒動で打ち切りになったものの、復活への道筋が見えてきたのだ。

「やらせ騒動自体は、極めて安直かつ性質が悪いものでしたが、それまで『クレイジージャーニー』は、ギャラクシー賞や放送文化基金賞など、テレビ界の名だたる賞を何度も受賞。関係者からも視聴者からも番組終了を惜しむ声は絶えず、司会の松本人志も無念さを隠しませんでした。すると極めて異例ですが、今年5月に特番での復活が実現。視聴率が計算でき、DVDも売れるので、TBSとしては『いずれは』という思いはあるでしょう。

 今回の『Nスペ』はひたすらシリアス路線でしたが、『クレイジージャーニー』は、シビアな現実を笑いと哀愁で包んで伝えることが可能で、それはそれで存在意義は大きい。番組からは何人も“スター”が生まれましたし、コロナ禍が落ち着けば何らかのアクションがあるかもしれません」

 似たような番組ばかり並ぶ中で、ぶっ飛んだ内容の放送は視聴者も歓迎のはず。テレビ離れが進む今こそ、“行けない場所を見せる”という原点に立ち返る姿勢が求められているのかもしれない。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2021/10/12 19:00
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