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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > キングオブコント2021、元芸人が全13ネタ一気レビュー!
恒例・元芸人が渾身の全ネタ分析!

キングオブコント2021、1stステージが大盛り上がりだった分決勝が尻すぼみ? 全13ネタ一気レビュー!

空気階段、2本目のネタはギリギリだった?

 9番手は『空気階段』こちらもバラエティでは良く見る、鈴木もぐらがいるコンビだ。

 3年連続で決勝進出となる実力派コント師だ。当たり前のようにファイナルステージへ進出し、そして今大会優勝している。ではまずファーストステージから分析していく。

 ネタは裸で椅子に座って縛られている人からスタートする。一瞬、誘拐か何かかな? と思ったがなんてことない、SMクラブで女王様を待つ人だった。

 するとそこにもうひとり縛られてパンストをかぶった人が入ってくる。なんとSMクラブのビルが火事になり、そのパンストの人が助けて回っているという。

 空気階段2人の見た目のキャラクター、ストーリー性、演技力、芸人ならではのテンションの高さ、すべてが笑いになる素晴らしい台本だ。

 パンストの人が実は消防士で、さらにもうひとりは実は警察官だったという裏切りも良い。終始裸で演技をするというあたりが何とも芸人らしい。題材でも笑わせ、言葉選びでも笑わせ、顔でも笑わせる。笑いの引き出しの多さが凄い。

 暗転を入れて場面転換をしていくのだが、それは昔からある手法なので、そこでもうひとつオリジナリティを出せたらさらに良かったかもしれない。エレベーターを使うのか、階段を上るのか、それを生み出せたら、もうすこし新鮮に見えたかもしれない。

 そしてファイナルステージのネタ。

 ネタは雨宿りをするために入ったカフェが、「メガトンパンチマン」という架空のマンガをコンセプトにしたカフェだったというもの。

 このファイナルステージのネタは、ファーストステージとは違い、ボケとツッコミがはっきりしている。「メガトンパンチマン」の世界観にこだわるマスター、そのマスターにつっこんでいく青年。言い方は悪いが普通のコントに見えてしまった。

 たまに「豆にはこだわっております」などの世界観を無視したようなセリフをマスターが言うが、なんとなく小手先の笑いに見えてしまった。

 ファイナルステージの三組の中では笑いが一番多かったかもしれないが、ほかのコンビがファーストステージくらいのネタを持ってきていたら順番は変わったかもしれない。

 最後10番手はM-1、R-1の2冠を達成している『マヂカルラブリー』。

 キングオブコントを制覇すればグランドスラム達成という偉業を成し遂げる。弥が上にもワクワクしてしまう。

 ネタはこっくりさんをやる学生二人。一人はお化けを信じる学生でもう一人は全く信じない学生。かなりベタな設定かと思いきや深夜の4時44分に心霊スポットで合わせ鏡の中でやっているという特殊な状況。

 案の定、強力なこっくりさんが登場し、10円玉に憑りつく。そしてその10円玉に引っ張られる野田。漫才同様、野田が動き、村上がしゃべるというもの。

 コントならではのマヂカルラブリーを期待していたのだが、M-1グランプリのネタとの違いが見いだせないほど似たようなシステムだった。ニューヨーク同様、コントである意味はなかったように思う。

 野田が後半一切しゃべらず、こっくりさんが憑依した動きに村上が突っ込む。そうなると村上のワードセンスが重要になってくるのだが、見ている側の想像を超えるようなフレーズはなかった。

 コントなら、ましてや高校生になりきっていたのなら、もっと違うフレーズが出たのかもしれない。憑依型のコント師ではなく、自分自身で芝居をする漫才師ならではの弊害が出てしまったのかもしれない。

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