キングオブコント2021、1stステージが大盛り上がりだった分決勝が尻すぼみ? 全13ネタ一気レビュー!
#キングオブコント #空気階段
ニューヨークが今回、最下位だったワケ
7番手はすでにバラエティ番組でおなじみ『ニューヨーク』。
バラエティでも活躍し、冠番組も持っている。賞レースに出る意味は無ないように思えるが、本人たちには無冠を脱したいという強いこだわりがあるのだろうか。
ネタは結婚式の段取り確認をするディレクターと新郎。本番前日に段取りが全部違うという、“キングオブベタ”なネタ。
手にバインダーを持っていてそれを見ながら段取りを確認するのだが、たぶん実際にそのバインダーには台本か段取りが書いてあるはず。なのでそのバインダーを読みながらボケやストーリーを進行させるので、ボケの嶋佐の動きが小さくなってしまい笑いにつながりにくい。
ネタ自体がコントというよりは漫才コントの形なので、ほかのコント師たちと比べてしまうとキャラ、ボケ、システム、クオリティ、全てが低いレベルに見えてしまう。
さらに後半になるにつれハチャメチャな感じにしていくが、ちゃんと理由があったり、自然にハチャメチャになるのではなく、強引にめちゃくちゃにしていくので、正直スマートではない。
厳しい意見になるかもしれないが、なぜこれで決勝に来れたのだろう。ほかのコント師はなぜ負けたのだろう。ネタの面白さではなくネームバリューで上がって来たのだろうか。そう思ってしまうほどきついネタだった。実力はあるはずなので残念だ。
8番手は今回のキングオブコント最年少コンビ『ザ・マミィ』。このコンビもファイナルステージへ進出した。名前は何度も聞いているし、酒井はバラエティ番組で何度も見ているが、ネタ自体を分析するのはこれが初めて。楽しみである。まずはファーストステージから分析する。
設定は、町で意味もなく誰にとでもなく大声で文句を言っているおじさんに対し、道を尋ねる青年の話。
おじさんは青年を無視し続けるが、あまりにもしつこく道を尋ねてくるのでついに「なんで俺にきく!」とおじさん自身がつっこんでしまうというもの。
途中で財布を忘れたといい、おじさんにリュックを預けたり、財布を預けたり、おじさんを信用し続けるピュアな青年。
そして後半になるにつれ、とても暖かい話になっていく。変なおじさんだと思っていたおじさんが預かったリュックを開けず、預けられた財布からお金を盗まない。初めて信じてもらえたおじさんは、心に何かを感じるというまるでヒューマンドラマを見ているかのような、感動すら覚えるストーリー展開。しかも最後はミュージカルになるという笑いに戻るおまけまでついている。
このネタは笑いと感動のバランスが絶妙。コントに登場する人物が、ザ・マミィ2人のキャラクターに合っていて、違和感ゼロ。
若手芸人がやりたいことがすべて入っているこの台本とキャラクター選びは今大会ピカイチ。審査員も高得点だった。飯塚だけ点数が少し低かったが、同じ事務所でなければもう少し良い点数になったであろう。結成4年でこのネタが作れるのは末恐ろしい。文句なく面白かった。
続いてはファイナルステージのネタ分析。
設定は社長と部下というありがちなもの。おおまかなストーリーも部下が社長の悪事を暴こうとするというベタな流れだ。
半沢直樹さながら、大げさなセリフ回しで会話劇を広げ、芝居力を見せつける。すると社長の酒井が「今のドラマみたいじゃなかった?」という一言で笑いが起き、コントの空気になる。ドラマのようなセリフを言い合い、テンションが上がっていく2人。ふとしたきっかけでシリアスに戻るが、それもドラマっぽくしただけというやり取りで構成されたネタ。
このネタのボケは“本当に話しているみたいだけど、ドラマ風でした”のたったひとつ。正直、どんなにセリフが長かろうが、舞台からはけようが先が読めてしまう。
ファーストステージのネタが複数の要素を詰め込んだネタだっただけに、単純すぎて少し飽きてしまった。
たぶんボケの酒井は変なおっさんやくず人間以外にもこんなキャラクターができると見せたかったのだと思うが、それはマイナスプロモーションな気がする。器用になんでもこなすのではなく、まずは変なおっさんや、くず人間のようなネタだけで良い。
それだけで十分優勝できるのだから。
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