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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > キングオブコント2021、元芸人が全13ネタ一気レビュー!
恒例・元芸人が渾身の全ネタ分析!

キングオブコント2021、1stステージが大盛り上がりだった分決勝が尻すぼみ? 全13ネタ一気レビュー!

羨ましいくらいおもしろかった男性ブランコ、優勝できなかった要因は?

 3番手は結成11年目の『男性ブランコ』、ファイナルステージ進出となったコンビだ。

 冴えない見た目と出番前に流れるVTRに“最高純度のコント”という謳い文句があったので、なんとなく期待が高まった。まずはファーストステージのネタから分析していこう。

 独りでたたずむ男性にピンスポットがあたりネタがスタート。海岸で拾ったボトルメールで文通を始め、そして今から初めて会うというプロローグ。どういう展開になるか予想も出来ないので、さらに期待が高まる。

 そして登場した白いワンピースを着たキレイめを意識した女性。話してみるとかすれた声とベタベタの大阪弁。つかみは相当面白い。

 大阪の一般の方が、ひとりでボケてひとりでつっこむ姿を皮肉ったような笑い。これを東京の芸人がやっていたら大阪の方はあまり良い気はしないかもしれないが、この2人は大阪からの上京組なのでセーフ。

 しかも普通だったら嫌になりそうなこの女性に対し、途中で最初と同じように男性にピンスポットが当たり「好きだ」と。この女性を肯定することにより、大阪の人であっても嫌な気持ちにさせないという計算なのだろうか。

少し同じようなやり取りが続き、突然どんでん返し、実はその女性の見た目や大阪弁のしゃべり方は男性の妄想だった。実際にこういう女性が来るとうれしいなと言っている男性の前に現れる女性。すべてが妄想通りで男性が狂喜乱舞してネタは終了する。

 正直このコントを見た時に、羨ましいくらい面白いと思った。やっているボケの内容は正直ベタ! だが実は妄想で、本当に同じような人が来て喜ぶというシステムは新鮮。ベタと新鮮の両方が入ったこのネタは悔しいが面白い。

 予想通り審査員の点数は高かったが、松本だけ低かった。それが唯一気になった。

 ファイナルステージのネタはたくさんの荷物を持った男とサラリーマンのやり取り。荷物を何度も落としてしまいサラリーマンが拾う。お礼を言うと落とすというベタ中のベタなネタ。会話を始めるとその男性が変わり者だということがわかる。

 自分のことを「レジ袋をケチった男の末路です」や、何度も拾ってくれる男性に対し「ランチタイムの忙しなさ」や「すみません。図らずもスクワットをさせてしまって」などフレーズは相当面白い。

 ただ前半、動きのボケが落とすというワンパターンだったのが残念。お客さんは落とすことに慣れてしまい、途中から落とすというボケは意味をなさないからだ。途中で展開したのは実は二人は幼馴染だったというところだが、それも特に広がりを見せるわけではなかった。

 ファイナルステージはボケとツッコミがはっきり分かれたネタになっていたが、見ている側は男性ブランコにそれを求めていなかった。ベタなネタではなく、ファーストステージのようにボケとツッコミに分かれていないベタと新鮮さを兼ね備えたネタを期待したのだ。

 もしまた決勝に上がることがあるならば、ベタなネタで安定を求めるのではなく、恐れずにオリジナリティあふれるネタで勝負してほしいと思う。

 4番手は三度目の決勝戦となる『うるとらブギーズ』。

 毎年見ているのに正直、外見だけではどんなネタをやっていたか印象に残っていない。つまり純粋にネタの面白さだけで決勝に勝ち進んでいるということだ。

 ネタはデパートらしきところの迷子センターに、息子が迷子になった父親が来るという設定。さすが決勝常連と思ったところは、息子がいなくなってパニックになっている父親を出すことにより、いきなりテンションマックスでスタートできるのだ。

 テンションマックスも大声もお客さんをネタに引き込む大事な要素だ。

 お客さんは多分10秒もかからずネタの世界観に引き込まれたはずだ。そしてパニックになっている父親が息子の特徴を言うが、全部おかしいというベタな笑い。これも素晴らしい。

 パニックになっている父親は人の話を聞かない。迷子センターの従業員の制止も聞かずに次々に情報を与えてくる。それによってお客さんは頭の中で子どもの容姿を想像しながら、テンションは落ち着くことなく、ずっと笑っている状態でいられるのだ。

 さらに凄いのは子どもの情報だけでは途中からトーンダウンしてしまうところが、このネタは二部構成になっていて、後半は従業員が館内アナウンスを流すときに、その迷子の特徴が面白すぎて笑ってしまうというネタになっている。

 とてもわかりやすく、余計なものがないすっきりとしたネタになっている。

 少し残念な点は、後半の従業員が笑ってしまう場面の最初が、笑いを我慢しているように見えなかったところ。もともとの顔が地味という事もあり、何を表現したいのかわからないまま声が震え、呼び出しを中断し笑っちゃうという感じになったが、客観視できていれば、声が震え呼び出しを中断し、少し静かにして、父親がどうしました? と言った後に爆笑。そして今まで丁寧に話していたのに特徴おかしすぎるだろとツッコミ入りで笑っていたほうが笑いが多かった気がする。

 あくまでもイメージなのでうまくいくかどうかはわからないが。

 個人的にはとても好きだが、思ったより点数が伸びなかった。その理由としては、いろんな人がやっている設定なのだが、ベタまでいっていないものだったからだろう。

 ベタな設定までいってしまうと誰がやってもいいのだが、ベタまでいっていないとマイナスになることが多い。どうやったらベタになるのかはわからないが“準ベタ”は取り扱いが難しい。

 それとオチがあまり良くなかった。できれば笑いで終わるネタであればもう少し点数が伸びたかもしれない。

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