『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』が実話を『セブン』のように描くホラー映画になった理由
#映画 #ホラー
(改ページ)参考にしたのは『セブン』だけではない
本作の製作を務めたジェームズ・ワンは、以前の『死霊館』と『死霊館 エンフィールド事件』が「家の中に閉じ込める物語」であったことから、それとは一味違う、異なる感覚を得られる映画にしたいとも考えていたそうだ。そこには「犯罪を調査し解決するウォーレン夫妻」の世界観をもっと追求したいと言う意図もあり、その物語の発展のための参考となったのは、映画『セブン』(95)だったという。
オープニングこそド派手な悪魔祓いのシーンがあり、良い意味で完全にオカルトホラーとなっているが、第二幕の捜査を続け謎の解決へと進んでいく様は、おどろおどろしい雰囲気も合間って確かに『セブン』を彷彿をさせる。シリーズ初のR15+指定がされたショックシーンも効いていた。
さらに後半ではよりフィクションらしい場面により移行していくが、そこにはウォーレン夫妻の妻ロレインと警察の実際のやり取りも盛り込まれているのだという。脚本の制作にあたっては、有力紙の古い記事に加え、事件を毎日報道していた地元新聞も入手した他、実際のアーニー・ジョンソンにもインタビューをしたそうだ。
つまり、この『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』は、さまざまな驚かせ方をする娯楽ホラーと、『セブン』のような犯罪捜査ミステリー(サスペンス)と、そして入念なリサーチを元にした実話ものをミックスしたような作品でもあるのだ。それぞれの面白さを一挙に味わえる、お得な作品と言ってもいいだろう。
他にもジェームズ・ワンは、本作の製作に取りかかる前から、ウォーレン夫妻の妻ロレインの透視能力を物語の核に据えたい意図があり、ジョン・カーペンター原案・共同脚本の『アイズ』(78)や、デヴィッド・クローネンバーグ監督の『デッドゾーン』(83)に着想を得て、ロレインが超能力捜査官として力を発揮できる事件を探していたそう。つまり、超能力を恐怖シーンだけでなく、物語にも不可欠な要素にしていくという、やはりシリーズの新機軸を打ち出すことを目指していたのだ。
ちなみに、そのジェームズ・ワンは過去の死霊館ユニバースである『アナベル 死霊博物館』(19)においても、博物館にあるさまざまな物が動き出す恐怖シーンが満載であるためか、「これはアナベル版『ナイトミュージアム』(06)さ!」 と語っていたこともある。過去の好きな作品を「ホラーでもやってみる」ことにてらいがない、ある種の無邪気さをも感じさせることも、本シリーズの魅力だ。
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