トムクルーズもついに参戦!? 「東西冷戦」を描き切ったトンデモ(?)U-NEXT配信映画3本!
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「共産主義のやつらは水道水にフッ化添加物を混ぜている」
偽ニュースをつくるアレックスの友人が「影響を受けた」と言うスタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情』(1964)は、アメリカとソ連が互いに核を突きつけあう冷戦の緊張状態を皮肉ったブラック・コメディ。
米空軍基地の司令官リッパー准将は突然イカれてしまい、ソ連に報復核攻撃を下す「R作戦」を発動、B-52爆撃機34機を出撃させる。基地に派遣されていた英空軍のマンドレイク大佐はラジオで普通に放送が行われていることから、今は戦争状態ではないと准将を説得するのだが、聞き入れられない。
米首脳部は爆撃機の呼び戻しを画策するが、特殊な暗号を用いなければ爆撃機は引き返さない。暗号を知っているのは准将だけ。大統領は仕方なくソ連首相に爆撃機の数と飛行ルートを伝え、
「出撃はこちらの手違いだが引き返せないので、そちらの方で全機撃ち落としてくれないかな?」
と、情けない依頼をする。ところがソ連には核攻撃を受けた場合世界中に反撃する「皆殺し装置」を極秘に配備していた。
准将だけが知る暗号を聞き出そうと政府は基地に部隊を送るが、「基地に近づくやつは全部味方のフリをした敵だ」と准将が命令していたため、同国人同士の銃撃戦に発展する。その最中に准将はマンドレイク相手に「共産主義のやつらは水道水にフッ化添加物を混ぜている」という陰謀論を聞かせていた。陰謀論におなじみのオチのない話を延々と聞かされ辟易するマンドレイク。
暗号を読み取ったマンドレイクからの連絡で爆撃機30機は引き返し、3機はソ連に撃墜されるが、被弾の衝撃で帰還命令を受け付けなくなったコング少佐はB-52の爆弾投下を実行する。
登場人物のほとんどがどこかおかしい異常者ぞろいで、そんな人間が一触即発の事態に立たされたらどうなるのか? アメリカのタージドソン将軍なんて、愛人とベッドでの秘め事しか頭になくて、首脳会談中にホットラインをつなげられて「かならず君を夫人にするから……」なんて言ってる場合じゃないよ!
チェスの世界一決定戦だろうと東西ドイツの統一であろうと、冷戦の前では人間の秘めた本性がむき出しになってしまうのだろうか。
トムより先に宇宙で撮影することになったロシア映画のプロデューサーはトムを打ち負かすのが目的ではなく、できれば同時に国際宇宙ステーションにたどり着いてそれぞれの映画を撮りながら交流を深められたら最高だ、とコメントしている。政治ならともかく、映画で東西が対立するような話ではない。冷戦は遠くになりにけり、か……。
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