アンミカのポジティブ思考とか言霊信仰とか疑似科学とかを凝縮した何かと芸能界の“本音”
#テレビ日記
アンミカ「視点を変えれば世界が変わる。これぞ究極の悟り」
芸能人の“本音”のようなものが語られるトークバラエティ『あちこちオードリー』(テレビ東京系)。22日の放送は特別企画として、「どんよりポエム発表会」なる企画がお送りされていた。「どんよりポエム」とは、生きているなかで感じるモヤモヤした気持ちをポエムにしたもの。発表者は、神田愛花、黒沢かずこ(森三中)、後藤拓実(四千頭身)の3人だ。
で、そんなポエムを聞くのがMCのオードリーの2人に加え、アンミカだ。同番組にも何回か出演し、ネガティブな側面を含んだ芸能人の“本音”のようなものを次々とポジティブに変換してきた彼女。今回もそのポジティブ変換はすこぶる調子がいい。
たとえば、神田の「誰にも迷惑をかけないよう、いろいろなルールを守りながら生きてきた私。でも、ルールを破りがちだったヤンチャな人のエピソードのほうが面白く、仕事の役に立つこの世界。どういうことなんだろう?」というポエムというか相談に対しては、開口一番、次のように受け止める。
「ルールを守りながら生きるって難しいですよ。まず拍手!」
アンミカはコメントを続ける。ルールだらけのなかで生きてきた人には、そういう人だからこその面白さがあるはず。つまり神田には、自分で気づけない面白いところを見つけてもらえる余地がまだまだ残っているということだ。そんなあなたが逆に羨ましい――。アンミカはこのように、神田が感じていた自身の弱みを強みに反転させた。
若いころにヤンチャだった人が得をし、マジメだった人が損をしているように見える。そんなバラエティでは定型文のような“悩み”を神田が本当に抱いているのか、という疑問は、ここではひとまずおいておこう。神田の相談に限らず、アンミカは黒沢や後藤の悩みにも肯定的なコメントを返していく。彼女は“本音”のようなものがしばしば抱え込むネガティブな要素を、ことごとくデトックスし、ポジティブなものにしていった。印象的なコメントをいくつか拾ってみるならば――。
「心配性の方っていうのは、同じ字を別に読むと心配りにもできるんですね」
「運っていうのは3方向から来ます。自分の努力、人が持ってきてくれるもの、目に見えない先祖様とか神様とか天運」
「目から入る印象って実は、耳から聞くよりもすごく残酷に脳裏に残るっていうんですよね」
「人ってね、1日3000回、生活レベルで選択をしてるって言われるのね。僕は幸せになるために、周りの人とどんどん喋れるようになるようにするぞって決めたら、その瞬間から1日3000回も人と仲良くなるチャンスがあると思えるんですよ」
「視点を変えれば世界が変わる。これぞ究極の悟り」
もちろん、アンミカは番組内で自身の役割を貫徹しているのであり、あえてしているポジティブ発言という面もあるだろう。だが、どうしたって感じてしまう集団セラピー感。オードリー・若林はそんなアンミカを「教祖様」として扱いつつ、「新興宗教だと思ってください」とボケたり、「集団セラピーじゃねぇか」とツッコんで笑いに変えていた。
が、アンミカの断言口調の発言からなんとなく浮かび上がってくる、その説法の中心にあるポジティブ思考とか言霊信仰とか疑似科学とかを凝縮した何か。あんまり面白がるのもなぁと、ブレーキをかけながら番組を見た。アンミカ、鈴木拓と組み合わせるとどうなるのだろうか。
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