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政治知識ゼロで「生活が不安」なライターが政治家とぶつかり稽古!? 見えてきた「新しい民主主義」という地平【和田靜香×小川淳也トークイベントレポート】

今までの民主主義は「共感」が置き去りにされていた

政治知識ゼロで「生活が不安」なライターが政治家とぶつかり稽古!? 見えてきた「新しい民主主義」という地平【和田靜香×小川淳也トークイベントレポート】の画像11
星野:これが、この本のもう一つ大きな価値だと思うんですね。和田さん流の民主主義というのを僕は感じたんですけども。この本を作る過程で和田さんは八代田さんや、僕や、金井真紀さんというライターの友人とか、いろんな人たちに弱音を吐きまくりながら少しずつ前に進んで、本が出来上がっていって。だから、これは和田さんと小川さんだけの対話だけじゃなくて、実はその外側で和田さんと一緒に考えてきた人たちも関わってるんですよね。そういう小さなコミュニティの民主主義っていうのが和田さんによってできていたと。

和田:ああ、そうかもしれない。

星野:この本の外側にはそれがある。和田さん流の民主主義のあり方は、「考える」が主体じゃないんですよね。政策だけが主体ではなくて、「共感」がベースになっている。だから、和田さんがそういう話をバーってぶちまけるときは、あるテーマを議論するのではなく、「何が苦しい」だとか「こういうことで希望が見えた」とか、そういう話をして周りを巻き込んでいく。そうすると、こっちは巻き込まれていること自体が楽しくなってくるというか。自分のテンションも上がるし、「それ、ちょっといいじゃないか」みたいな気持ちにもなれる。今までの民主主義が意見の違う人と議論しながら作っていくやり方だとした場合、それは「考える」ことが主体になります。そうすると、現場の「共感」がどこかで抜け落ちちゃうというか、置き去りにされる形だったと思うんですよ。でも、和田さんはそれをも盛り込んだ形で小川さんにぶつけ、周りの人も巻き込んで民主主義を作っていったのではないかと。これは、これからの民主主義にとってものすごい必要なことで、この苦しい時代における可能性を示したと思うんですよね。

和田:そういうふうに言ってもらうと、民主主義ってすごく楽しかったですね。なんて楽しいんだろうって。小川さんと私の話は、もちろんその場も楽しくて勉強にもなるんですけど、帰ってきたら「今日、小川さんはこんなこと言ってたんだよ」みたいにみんなに伝えるわけですよ。すると、小川さんが言った“1”のことを、他の人が“3”に膨らませてくれたりするわけですよね。

小川:その巻き込む力はすごいし、最終的には和田さんの人徳なんでしょうねえ。例えるなら、洗濯機の中でガンガン回されている大きな洗濯物みたいな(笑)。巻き込まれて、巻き込んで、回される。

星野:だから結局、小川さんも巻き込まれたんだと思うんですよね。要するに、専門性がなきゃ政治や民主主義に関われない、語れない、そんなわけないということですよね。

小川:そうそう、そこですよね。僕、今回で一番嬉しかったのは、和田さんが「言いしれぬ不安からだんだん解放されてきたんです」とおっしゃったときなんです。「言い知れぬ不安」から始まったやり取りだったけど、それがだんだん薄らいできたという言葉に、とても救われて。つまり、病気の診断と似ていると思うんです。いろんな症状が出るけど「何だかわからない」という状態が一番不安を感じる。でも検査した結果、「原因はここにあります。治療法はこうです」というのがわかった瞬間、気が楽になるというか。
 実は、日本社会も同じ構造疾患を抱えていて、構造的な問題を背景とした病魔に襲われてるわけです。そんな日本列島でみんな生きてるわけだけど、それを自覚したり、理解している人はまだまだ少ない。和田さんの不安が薄らいだのは、理解したことによる不安の解消なんですね。

星野:和田さんが「私の不安は日本の不安」と言ってるのは、まさにそれですよね。

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和田:本当、そうでした。小川さんと話してたら「私の不安って日本の不安そのものなんだ」ということがだんだんわかって。

小川:この日本社会が登らなきゃいけない山は、もう目の前に広がってるんです。もう、この山は登るしかない。でも、まだその山には霞(かすみ)がかかっていて、登るべきなのか、どうやって登ればいいのか、登った先にどういった社会が広がっているのか? それがまったく見えてないわけです。でも、それを理解し、登山の準備をして「さあ、登るぞ」っていう大変な作業を、和田さんは日本国民の右、代表になって先陣切ってやってくださったと思ってます。
 もう一つ印象に残ってるのは、「これって和田靜香の成長物語だな」と僕は思っていたんです。そしたら、後援会でお世話になっている方から「いや、これは小川さんも成長させてもらってますよ」と言われて、ちょっとハッとしたときがあって。だから、実は僕が稽古をつけてもらっていたんですよ。そして、稽古をしたらいずれは本番に乗り出さなきゃいけない。私の立場からすると、「稽古つけてもらってああよかった」では済みませんから。

星野:本番っていうのは、何を意味するんですか?

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小川:この作業は思考実験の場でもありました。今、日本社会がどういう状態なのか、それはなぜなのか、どうすればいいのか、どうできる可能性があるのか? 政治家としてプロである僕側と、よくわからないけど一生懸命な右、国民代表の二者による思考実験だったわけです。でもここからは、それを行動実践に移さなきゃいけない。私もまだ正解を持ってないんです。それを、和田さんと向き合って悩んてきたように、多くの国民のみなさんと対話して一緒に悩みながら結論を生み出し、方向性を取って決断する。「決断する」っていうことは、他のオプションを「捨てる」ということです。一つひとつの結論を出し、山を登る訓練はしてきた。次は、本当に登り始めなきゃならない。登りきったところにどんな地平が広がっているのか。次の世界に乗り出さなきゃいけないですよね。

星野:それはもう、登り始めたら……。

小川:そう、大きな失敗は許されないですよね。軌道修正はありますけど。

星野:もう一度引き返してイチからというわけにはいかないから。

小川:相当、慎重に。しかしときに大胆に。一身に責任を負う覚悟も必要だし、もちろん能力も問われるし。和田さんにせっかくいい稽古つけてもらったので、それを国民のみなさんとやっていかなきゃいけない。それは僕の問題であると同時に、日本国民の問題でもありますから。投票して、国民自身が次の時代を選び取っていく。そういう段階に、少しずつですけど進まなきゃいけないですね。ここで稽古をつけていただいて、和田さんに「親方、ありがとうございます」って言いながら(笑)。

和田:親方(笑)。

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