『関ジャム』欅坂46「サイレントマジョリティー」作曲家が語る歌メロが低音の理由と、路地裏で苦悩する若者たち
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9月12日放送『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)が行ったのは、題して「職業作曲家の仕事術を解説!!」なる特集だった。職業作曲家といったら筒美京平や後藤次利といった大御所が思い浮かびがちだが、この日ゲストとして登場したのは、作詞作曲家・音楽Pの岡嶋かな多、作詞・作曲家の栗原暁、作曲家ユニットのバグベアの3組である。
現代のヒット曲は「コライト(共同制作)」が主流
今回の特集で紹介されたのは、楽曲コンペの実態だ。クライアント(レコード会社など)が多くの作曲家たちから楽曲を公募し、作曲家たちはテーマに沿った曲を提出。そして、採用された曲だけがリリースされるという熾烈な楽曲オーディションが、人知れず開催されているのだ。
岡嶋がコンペで勝ち取ったヒット曲は、三浦大知の代表曲「EXCITE」だ。三浦が初めてオリコン1位を獲得し、さらに平成仮面ライダー(仮面ライダーエグゼイド)の主題歌として初のオリコン1位に輝く偉業を達成した楽曲である。そうか、あのカッコいい曲を作っていたのは女性作曲家だったのか。
このコンペで勝ち抜くために、岡嶋は「コライト(共同作業)」という手法を選んだ。“メロディーと歌詞のスペシャリスト”である自分が“トラックを作るスペシャリスト”と組み、それぞれの強みを生かして共同制作するというスタイルである。「EXCITE」で彼女は、世界で活躍する日本人DJのCarpainterにバックトラック制作を依頼している。その際はどんなオケが欲しいか世界観をCarpainterに説明し、あとはおまかせという工程だったそうだ。
海外のエンタメ界全体で、コライトはすでにシステム化されている。スウェーデンの作曲家チームがコライトしたバックストリート・ボーイズ「I Want It That Way」の大ヒットがきっかけとなり、今やこの手法はアメリカの主流だ。ただ、ゲスい観点になってしまうのだが、この形式だと印税の分配がどうなるかが気になる。単純計算で÷2、÷3、÷複数になってしまうため、取り分が少なくなるのは当然。コライトは数をこなさないと儲からない? その辺も掘り下げてほしかったが、番組内でそういう質問は出なかった。残念!
さて、トラックができたら今度は岡嶋が歌メロを作る番。やり方は至極アナログだ。マイクをつなぎ、直接歌を入れていく。その工程を岡嶋はスタジオで見せてくれた。「EXCITE」のトラックを聴き、即興で思いついた歌メロをドンドン吹き込むのだ。これがまた、言ったらなんだが森三中・黒沢かずこが演る“即興生歌”に似ている気がした。というか、考え方はほとんど一緒のはずだ。
ただ、このやり方だと“どこかで聴いたことのあるメロディー”になってしまわないか、いらぬ心配をしてしまう。耳に残る好きな曲に引っ張られてしまいそうな不安があるのだ。まあ、その辺はプロがやっているから大丈夫なのだろう。野暮なことを言ってしまうと、トラックありきの作曲法だという印象を受けた。
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