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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 若手発掘よりもベテランが0.1%にかける闘い

『キングオブコント』は「若手発掘よりもベテランが0.1%にかける闘い」14年目のルール改定で明確に?

キングオブコントにかけるベテランたち

 どことなく客席は知った顔が多いので、お祭りのようにみんな楽しみながら審査をしていたが、僕の隣にいた、ある関西弁の芸人のせいでとても気分が悪くなったのを覚えている。

 名前を出すのは控えるが、審査中自分がお世話になっている大阪の芸人に対しては「めっちゃおもろい」「さすがやわ~」など褒めちぎり、関東の芸人が出てくると、ネタ中にも関わらず、「何がおもろいねん」「この笑いわからんわ」などと周りの芸人にわざと聞こえる声で言っていた。

 その芸人の後輩たちは愛想笑いをし、なんとなくどちらに点数を入れるかを強制されていた感じもあった。僕は同じ事務所でも後輩でも無いので、逆にその芸人が「何がおもろいねん」と思うほうに点数を入れた。後で調べてわかったことだが、僕らと同期の芸人だった。同じ芸歴でこんな事をするのかと、がっかりした記憶がある。

 話がそれてしまったが、つまりキングオブコントとは次の売れっ子になる為に、0.1%にも満たない可能性にかけるベテランたちの戦いなのだ。そんじょそこらの若手では到底勝てるわけはなく、さらには人気者のユニットであってもそう簡単に優勝できるものではない!

 よって「若手のチャンスをつぶす」なんて心配ご無用なのだ。

 そして「すでに売れているから出る必要はない」と非難している一般の人たちに問いたい。何の為にプロ同士のユニットを解禁したと思っているのですか?大会側としてはプロ同士のユニットを承認した段階で、今大会限りの売れっ子ユニットが参加してくることを予想していたはずだ。むしろその効果を狙って解禁したともとれる。

 今回は残念ながら決勝に出られなかったが、もし「チョコンヌ」が優勝でもしていたら、次の大会にはさらに面白いユニットが出てきたかもしれない。

 ちなみに「チョコンヌ」に対して非難している人たちの大半は「チョコレートプラネット」に対してだと思うが、キングオブコントでいうと、2014年に優勝している「シソンヌ」のほうが格上であり、脅威なのはシソンヌが作る世界観だ。

 逆に一度も優勝していないチョコプラが、シソンヌという最強のコント師を仲間に引き入れ大会に参加してきたのだから、非難はせずにどんな世界を見せてくれるのか楽しむべきだった。新しい笑いが見られるかもしれないし、それを阻止すべく、ほかのベテランコント師達が意地を見せてくれるかもしれない。

 今までのキングオブコントと比べてもかなり毛色の違う、見ごたえある決勝戦になったであろう。

 最後に、コントも漫才もやり、オンエアバトルで最多勝利数を誇った元芸人からのアドバイスで締めくくろう。

 華やかなテレビの世界を夢見て日々努力している若手芸人やアマチュアの諸君。

 もし今コントを軸に活動しているなら、すぐにコントを辞めなさい。パイプ椅子の代わりにセンターマイクを置き、漫才をやるべし。話術を磨いて、人の耳と心を惹きつけられる芸を学ぶことこそ、芸人として売れる近道だ。

 漫才で売れたら何にだって通用する。MCも出来るし、ガヤも出来る。コントがやりたければ、後から好きなだけやれる。

 誰かになりきるコントよりも、自分自身の素材を磨かなければ、今のお笑い界の荒波を乗りこなすことは出来ない。頑張れ!

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2021/09/17 11:41
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