『Qアノンの正体』トランプを崇拝し“トム・ハンクスは小児性愛者”を本気で信じる集団の真相にせまった傑作HBOドラマ
#U-NEXT #Qアノン
2021年2月末にアメリカ、オークランドで講演を行った前大統領ドナルド・トランプは、24年に行われる大統領選への再出馬をほのめかし、6月の共和党集会でも出馬の可能性に含みを残した。
トランプは20年の大統領選で不正があったと主張し「でっちあげ」「世紀の犯罪」と今も、虚言を繰り返している。
トランプを支持する(一部の)層は彼が世界を支配する秘密結社ディープ・ステート(影の政府)と戦う正義の戦士であると信じている。彼らはQアノンと呼ばれSNS上で集い、日夜世界を破滅させようとする悪魔たちの陰謀を暴くために戦う。これはライトノベルや深夜アニメの話ではない。現実世界で起きている話なのだ。
HBOが製作したQアノンについてのドキュメンタリー『Qアノンの正体 / Q: INTO THE STORM』は、『俺たちニュースキャスター』(2004)『マネー・ショート/華麗なる大逆転』(15)などで知られるアダム・マッケイが製作。ドキュメンタリー映像作家のカレン・ホーバックが監督、陰謀論集団Qアノンの実態に迫り、匿名投稿者「Q」の正体を暴こうとする。
Qは17年10月に画像掲示板4chan(日本の2ちゃんねるの姉妹版)に登場する。
「嵐の前の静けさ」というスレッドタイトルの投稿は、当時大統領だったトランプが首脳会議について「嵐の前の静けさ」だと表現したことの引用にすぎなかった。だが、こういった「思わせぶり」な投稿の数々に影響された人々は、トランプ本人、陣営とQは密接な関係で彼らは世界の支配者層と戦っており、大手マスメディアでは流せない真実を発信しているのだと。例えばセレブの多くは小児性愛者であり、ヒラリー・クリントンやトム・ハンクスは子供をレイプして、血を飲んで若返りを図っている、というものだ。
……という冗談にしてもキッツイ話をQアノンたちは本気で信じている。
これらの陰謀論はSNSや4chanの投稿から広まった。ヒラリーの選挙対策責任者だったジョン・ポデスタの私的なメールがウィキリークスによって暴かれ、その中にピザに関する会話が何度も出ることから(単にデリバリーを頼んだだけでは?)「ピザとは子供を指す暗号で、チーズピザの略がCPだからチャイルド・ポルノのことだ!」ってこじつけだよ!
ワシントンD.C.のピザ店コメット・ピンポンの地下で秘密の儀式が行われているとされ、ピザゲートという言葉が拡散される。
この投稿を観たニュース番組記者のジャック・ポソビエックは真相を確かめようと、コメット・ピンポンに突撃するライブ配信を始めるが、あえなく店から追い出される。
彼はピザゲートを信じていたわけではなく、デタラメであることを証明するために配信を行ったが、陰謀論で頭の中がパンパンになってる人は「追い出されたのはピザゲートが真実だからだ」と思うようになり、ある人物はコメット・ピンポンを銃撃!) した。「被害に遭っている子供を救えば、英雄になれると思った」という動機で。
ポソビエックは「私は陰謀論を信じている人をからかったが、まさかネット民のIQが標準以下だとは知らなかった」と語る。そんなズバリ言わなくても。
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