『関ジャム』名カップリング曲特集! サブスク時代における曲単体主義に「B面マインドは忘れずに」
#テレビ #音楽 #関ジャム
9月5日放送『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)が行ったのは、題して「ヒット曲の隠れた名カップリング特集!!」。まず、番組は代表的なカップリング(B面)の名曲を紹介した。
・プリンセス プリンセス「M」(「Diamonds」のカップリング)
・DREAMS COME TRUE「うれしい!たのしい!大好き!」(「うれしはずかし朝帰り」のカップリング)
・SMAP「オレンジ」(「らいおんハート」のカップリング)
プリプリにとって「Diamonds」と「M」はどちらも代表曲だし、ドリカムは2曲別々のリリースでもヒットを飛ばせたはずだ。そして、SMAP。カップリング曲が「オレンジ」なんてすごすぎる。「らいおんハート」のミリオンヒット達成は、カップリングの功績がすごく大きかったと思う。正直、「オレンジ」のほうが筆者は好きだ。
こういうケースは稀にある。ドリカムの「未来予想図Ⅱ」は「笑顔の行方」のカップリングだし、小田和正「ラブ・ストーリーは突然に」は「Oh! Yeah!」のカップリング曲。どちらも、完全にリード曲を食っている。あと、松田聖子「SWEET MEMORIES」、中島みゆき「糸」、欧陽菲菲「ラヴ・イズ・オーヴァー」、虎舞竜「ロード」も全て、もともとB面曲だ。B’zのスタンダードとも言える「Pleasure’91 ~人生の快楽~」と「恋心(KOI-GOKORO)」の2曲も、やはりカップリング曲(彼らはあえて“2nd Beat”と呼ぶ)である。
この手の話を音楽好きの間で交わすのは楽しい。でも、CDを買わないストリーミング世代にはクエスチョンマークだろう。今回の企画を提案した音楽プロデューサー・松尾潔は語っている。
「どうしてもリード曲はタイアップが付いたり、ポップさが求められる。それに比べるとカップリングは自由。カップリング曲は、アーティストの“ノーメイク”の姿」
良曲すぎてカップリングだったことを忘れさせるスピッツ
この日、選者として登場したのは松尾、長屋晴子(緑黄色社会)、はっとり(マカロニえんぴつ)の3人だった。
この中ではっとりが挙げたのは、スピッツの「猫になりたい」(「青い車」のカップリング)である。そう。要するに、こういうことなのだ。「隠れた名カップリング曲」特集のはずが、いい曲すぎて全然隠れていない。それどころか、ファンの間では殿堂入りすらした1曲。名カップリング曲だと、こういうことが起こり得るのだ。ずっと名曲扱いされていたから、カップリングという事実をとうに忘れていた。特に、スピッツは表題曲とB面曲の出来にあまり差がないバンド。だから、こんな現象がよく起こる。事実、名曲「ロビンソン」をカップリングに回そうか悩んでいたというエピソードが彼らにはある。
続いて、はっとりが挙げたのはユニコーンの「服部」(「大迷惑」のカップリング)だった。この曲も、ファンの間ではカップリングという認識が薄い。何しろ、3rdアルバムのタイトルが『服部』なのだ。カップリング曲でありながら、アルバムの表題曲でもある。ユニコーンというバンドについて、はっとりは以下のように評している。
「(ユニコーンは)A面だからこう、B面だからこう、という概念でそもそもやっていないロックバンドです。おかしなことをひたすらにやる」(はっとり)
このバンドは確かにそういう一面を持っている。ただ、一部でメンバー・阿部義晴が生まれた山形県で“天皇”と呼ばれた服部敬雄にあてつけた曲とも言われているのだ。系列グループ(山形新聞、山形放送、山形テレビなど)の社長と会長を歴任し、「同じ苗字だから気に食わない」という理由で『忍者ハットリくん』の県内放送を打ち切りにさせたという逸話(都市伝説)を持つ権力者が服部だ。そのつもりでこの曲を聴き返すと、「その名も服部 世界を1人占め」という歌詞がより意味深に響いてくる。(ちなみに、作詞を担当した民生と阿部は上記の解釈を否定している)
それにしても、はっとりが「服部」を選んだという偶然が妙に面白い。でも、ちょっと出来すぎじゃないだろうか?
「実は、この曲に影響されて『はっとり』という名前を名乗ったんです」(はっとり)
なんだ、そうだったのか! どうりで、あまりにユニコーンを好きすぎだと思っていた。マカロニえんぴつのユニコーンからの影響は、曲を聴けばすぐわかる。あと、はっとりの髪型はソロデビューした頃の民生と瓜二つだ。はっとりのTwitterアカウントを見ると、ヘッダー画像はアルバム『服部』のジャケットに写るおじさん、中村福太郎さん(2019年3月に98歳で他界)だった。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事