草笛光子と中谷美紀、ベテラン女優による「仲良しの嫁姑」感漂う軽妙な応酬が楽しい『ボクらの時代』
#土屋太鳳 #中谷美紀 #ボクらの時代 #草笛光子
9月5日放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)に草笛光子、中谷美紀、土屋太鳳の3人が出演した。
中谷と土屋は2016年のTBS系ドラマ『IQ246~華麗なる事件簿~』で、土屋と草笛は2015年度上半期のNHK連続テレビ小説『まれ』など、それぞれに共演経験があり、プライベートでも交流のある女優という組み合わせだが、やはり興味深かったのは草笛と中谷の関係だろう。中谷は草笛を「お母さん」と呼んで慕っているが、そのきっかけは2013年の三谷幸喜演出の舞台『ロスト・イン・ヨンカーズ』で母子の役柄で共演したことにあるという。そういえば、同年に放送されたスペシャルドラマ『花の鎖』(フジテレビ系)では、同じ女性の若い頃を中谷、晩年を草笛が演じたこともあった。
以来、ふたりは親交を深めていたが、今回の『ボクらの時代』はその仲の良さが存分に伝わってきた。のっけから、「いろいろめちゃくちゃにされたわね、コロナに。あの野郎、憎らしいわねぇ」と新型コロナウィルスに恨み節をぶつける草笛。続けて、草笛の弔事を中谷がすでに書いたという話題を出し、「もうすごい、立派な文章。だからあたし死ななきゃいけなくなってきちゃった」と冗談を飛ばす。中谷も「先に書いちゃったの」と悪びれもなく笑い、草笛が「(弔事の)最後はひどかったわね。ゴキブリと母さんだけは生きてるのよね?」と言うと、中谷は「そうそう。核戦争が起こったとしても、ゴキブリと草笛さんだけは生き残るであろうと」と説明していた。これが本当の話なのか、はたまた名女優たちによる即席の“お遊び”なのかは定かではなかったが、当惑する土屋に対し、上機嫌な様子の草笛と中谷だった。
中谷が夫と過ごすオーストリアの片田舎での生活を綴った『オーストリア滞在記』(幻冬舎文庫)を出した話になると、草笛は掲載されていた手料理について「あれ本当? 全部作ってんの?」と疑い、現地でのコロナ禍の生活をひとしきり聞いた後では唐突に「ドイツ語ちょっと喋って」とリクエスト。中谷も「お母さんひどい!」と言いながら笑顔で反論する。草笛が中谷と夫のところに会いに行ったという話では、「楽しかった。また行きたい」と振り返った草笛が「誰か恋人がいたらいいから……そういう人探しといて」と言い出すと、中谷も「はい、承りました。マッチングアプリで探します」と応じる。ポンポンと言葉が飛び交い、楽しげにやり合う。普段からこんな感じなのだろうと想像できるやり取りだった。
87歳になっても、大女優となった今も、意欲と向学心に溢れた草笛の姿も印象的だった。コロナ禍でテレビを見ていて、「滑舌」と「聞き手に伝わるしゃべり」の難しさを改めて痛感したという草笛。俳優という仕事について「あたしたちは(平面に書かれている)字を“立たせて”、字を動かしてるわけじゃない? 身体でね。本の字を動かして、身体を通して伝えるっていう仕事だなとつくづく思った」と語っていた。
血液検査をしてもまったくの健康だという草笛だが、寝る時に「老い」を感じるそうで、「わたし、『老いとは億劫との戦いです』ってよく言ってんの。今こうやって立つにしたって、よいしょって立たなきゃなんないでしょ。これ億劫よね」「だからやっぱり、億劫と戦ってんのよ、毎朝。毎日」と語る。そのために、普段から運動をして「億劫」に打ち勝つよう努力しているのだとか。草笛は以前にインタビューで、70代に入ってからパーソナルトレーナーをつけて鍛えていると明かしていたが、だからこそ元気なのだろう。草笛は食事も、バランスボールに乗って取っているのだという。
草笛の健康に関するトークになった際も、中谷との軽妙な応酬は続く。草笛宅でとんかつをご馳走になったという中谷は「お母さんが4つあったうち3つ食べちゃったの」と暴露。これに草笛は「やっぱ食べ物の恨みってすごいわねぇ」と皮肉っぽく返し、「(とんかつのサイズは)小さかったでしょ?」と確認すると、中谷は「小さいのちょっとずつ。ほら、お母さんが喉に詰まらせて死んじゃうといけないから」とやり返し、笑っていた。
SNSでもふたりの関係性を楽しく見たという声が多く上がっていたが、「まるで仲良しの嫁姑のよう」という指摘が一番しっくりくるかもしれない。ぜひまた共演してほしいものだ。
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