トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『#家族募集します』コロナ禍で描かれる「理想郷」の世界

『#家族募集します』はコロナ禍に眩しすぎるパラレルワールド? 視聴者からは「理想郷に見える」の声

『#家族募集します』公式サイトより

 舞台は東京の下町、台東区にある昭和感溢れる「おかず横丁」の一角、お好み焼き屋「にじや」。その二階を一人親家庭専用のシェアハウスとして、SNSで「家族募集」をしたことから始まった、“家族”をテーマにしたTBS系金曜ドラマ『#家族募集します』。令和の時代、コロナ禍を生きる私たちが失った数々の風景が詰まった、優しく温かい物語だ。

 8月27日に放送された第5話の世帯平均視聴率は5.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)とかなり苦戦している同ドラマだが、SNS上では好評で、毎話感動して泣いているという視聴者も多い。

 第5話は、主人公でシングルファーザーの俊平(ジャニーズWEST・重岡大毅)親子やシングルマザーの礼(木村文乃)、めいく (岸井ゆきの)親子らが、シェアハウスの屋上でバーベキューや花火を楽しんだり、皆で浴衣を着て「にじやフェス」なる夏祭りを開催するなど、“家族”たちの笑顔が溢れるほのぼのとした回だった。

 これに視聴者からは「コロナのない世界。早くこうやってワイワイ出来る様になるといいね」「ドラマとは言えコロナのない世界が理想郷に見える」「今のご時世から考えるとパラレルワールドみたい。コロナがなかった令和の話みたいな」「そうゆう行事が恋しすぎて泣ける」などと、今の状況下では見ることができなってしまった夏らしい風景に想いを募らせるコメントが多く挙がっていた。

 他人同士で子育てをシェアし、大きな家族のように助け合って生きる、という理想を実現しようとしている「にじや」のメンバーたち。かつての日本には確かに近所で互助的な付き合いがあって、地域の大人たち皆で子どもを見守り、育てていた。例えば思い出されるのは、ジブリ作品の『となりのトトロ』の世界。「お隣さん」との強い繋がりがあり、子どもが迷子になれば地域の大人たち総出で探す、懐かしい日本の原風景が豊かな里山の自然を含め、これでもかと詰め込まれた作品だ。『#家族募集します』もどこかそんなジブリ作品に通じるような、ほのぼのとした牧歌的世界が感じられるのだ。家族だけではなく、たくさんの大人と子どもがお好み焼き屋に集い、笑い合いながら食事を共にし、問題ごとにも関係ない他人が心配し首を突っ込んできて、皆で解決しようとする、そんな煩わしくも温かい下町人情溢れる世界。

 「言われた通り、理想です。でもその理想を実現したいんです」。第4話でシェアハウスの暮らしを「能天気な学生が考えそうなことだ」と言われた俊平が、第5話で答えた台詞だ。現実は綺麗事では済まされない。令和に生きる私たちは、地域の繋がりは薄れ、ワンオペ育児なんて言葉も日常的に耳にする。加えて、このコロナ禍。失ったものは数多い。そんななかで描かれる、牧歌的で理想郷のような「にじや」の世界はまるでパラレルワールドのようにも見えるが、だからこそ、心に沁みて癒されるという視聴者が多いのではないだろうか。

 9月3日には第6話が放送される。東京五輪の影響で3週間放送休止していたため、通常より短くなる可能性も高く、残り話数も気になるところだ。あと数話、誰も嫌な人がいないこの温かな世界に少しでも長く浸れることを願おう。

■番組情報
金曜ドラマ『#家族募集します』
TBS系毎週金曜22時~
出演:重岡大毅、木村文乃、仲野太賀、岸井ゆきの、金子大地、小松和重、福山翔大、丸山礼 、石橋蓮司、佐藤遙灯、宮崎莉里沙、三浦綺羅 ほか
脚本:マギー
演出:福田亮介、村尾嘉昭
プロデューサー:佐久間晃嗣、岩崎愛奈、那須田淳
主題歌:ジャニーズWEST「でっかい愛」(Johnny’s Entertainment Record)
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kazokuboshuu_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2021/09/03 19:00
ページ上部へ戻る

配給映画