「記憶を消されたひぐち君」と「角野卓造」 ドッキリは何回目?
#テレビ日記
近藤春菜(ハリセンボン)「私の父よりも角野さんのほうが私に似てるんです」
20日の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に俳優の角野卓造が出演。ファッションへのこだわりや、今年逝去した橋田壽賀子との思い出、ラーメン屋に行くと同業者だと思われる話などを黒柳徹子と繰り広げていた。
で、話はお笑い芸人の近藤春菜(ハリセンボン)との関係へ。角野は「彼女は僕の大恩人です」と振り返る。春菜が何年も「角野卓造じゃねーよ!」と連呼した結果、いまでは全国どこへ行っても名前を覚えられているのだとか。ある番組で初めて彼女に出会ったときは、「いつもお名前勝手に使わせてもらってすいません」と謝られたらしい。が、むしろ名前を周知してくれたことに感謝したと角野は語った。
――と、そんな話をしているときに、角野の後ろを横切る影。いままさに話題にのぼっている春菜が、徹子の部屋の窓の外(徹子の庭?)をスタスタと歩いていく。彼女は窓際にたたずむと、父親を見るような、分身を見るような、歳をとった自分を見るような視線を角野に注ぐ。その構図がなんだか面白い。
窓から部屋にお邪魔する春菜。その後は、彼女の結婚式に出席することがあれば「きっと泣くと思います」と角野が語り、春菜も「ホントの父と並んで座っていただきたいなって」と語るなど、”芸能界の父と娘”の関係を思わせるトークが弾んだ。ただ、春菜と角野が似ているといっても、春菜の父親と角野は必ずしも似ているわけではないらしい。
「私の父よりも角野さんのほうが私に似てるんです。そこに父は嫉妬していました」
さて、今回の『徹子の部屋』では彼が1984年に同番組に出演したときの映像も流れていた。当時の黒柳は「みなさんはお顔は見てらっしゃるんだけど、あら名前はなんておっしゃる方かしら?って」「お顔のほうがどんどん優先して、お顔よりもお名前が行き渡らない」などと角野を紹介。当時の角野は、顔は知られているが名前は周知されていない俳優だったようだ。そんな角野の名前を、黒柳は番組のなかであえて連呼したらしい。
近藤春菜の「角野卓造じゃねーよ!」もそうだけれど、角野の名前には、なんだか連呼したくなる魅力があるのかもしれない。主に脇役として映像作品でよく目にするあの人。存在は認知しているが名前はわからない。それがわかることへのクイズ的、あるいはトリビア的な快楽とも結びついているというか。たとえば、パンの袋についているプラスチックの留め具の名前を「バッククロージャー」だと知ったときのような。そんなちょっとした快楽が「角野卓造」という名前にはあったのかもしれない。
とはいうものの、角野の名前を世間が周知した後になっても、私たちは依然として「角野卓造じゃねーよ!」に面白さを感じているようにも思える。もちろんそれは別の面白さ(たとえば様式美の笑い)に移行したのかもしれないけれど、いや、もしかすると別の可能性もあるのではないか。たとえば私たちは、密かに催眠術のようなもので角野卓造の名前に関する記憶を毎回うっすら消されているのかもしれない。ひぐち君は言っていた。
「僕はもう先生の目を見るとかかっちゃうんで。だから先生がテレビ出てるとき、僕かかっちゃいそうで、チャンネル変えるんですよ」
そういえば、『ドッキリGP』の今回の催眠術企画、なんだか『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でもやってそうなやつだ。あのドッキリを見たのは、本当に1度目だっただろうか。私がこの記事を書いたのは、1度目だっただろうか。
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