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東京がカブールになる日…米軍アフガン撤退、日本も対岸の火事ではない!?

日本が第二のアフガンになる日

 さて、バイデン氏はかつて(20年)、米CBSニュースに対して、米軍がアフガニスタンに残る理由は「タリバンやISIS(イスラム国)やアルカイダが、あの国に拠点を再構築できないようにするため」だけだと語っていた。

 しかし、今回のアフガン新米政権の崩壊、米軍の完全徹退、タリバン政権の樹立によって、その限定された目的でさえも危うくなったと言わざるを得ない。アフガンが再びテロリストやイスラム過激派の温床となる可能性も十分あるだろう。

 そうなると、国際テロの危険性は高まり、世界中の人々がテロの脅威にさらされることになる。米軍のアフガン徹退は、20年もの長きにわたる戦争に敗北したということだけでなく、テロを誘発する危険性があり、「二重の敗北」に繋がりかねない。

 バイデン大統領は「アメリカ軍はアフガニスタン軍が戦う意思がない戦争で戦うべきではない」などとも声明を発しているが、これは日本にも重くのしかかる言葉ではないか。「アフガニスタン軍」を「自衛隊」に置き換えてみてほしい。

 いざ有事の時、自衛隊 に抗戦の意思がない場合は、米軍は徹退することもあり得るということである。いや、自衛隊のことだけでなく、日本国民に厭戦気分が見られたり「あんな島など某国にやってしまえば良い」などと言っていたら、米国は本気で軍事支援してくれなくなる可能性もあろう。

 日本(軍・国民)が、領土を守るために戦う意思もないのに、米軍人が血を流して、日本の領土を守る必要などないと思われても仕方ないからだ。今回のバイデン大統領声明は、そのことを示しているように私には思う。その米国の傾向はより一層強まってくるであろう。

 だからこそ、必要なことは、同盟国との連携を強化しつつも、自国の領土は自国で守る、不当な領海侵犯には屈しないという強い想いを我々日本人一人一人が持つことである。それが既に某国の侵略を防ぐ抑止力となるであろう。

 タリバンが実権を掌握したことを受けて、中国は「米国の一切を顧みない撤収計画は、(米国が結ぶ)同盟国との約束も信頼できないことを示した」「ベトナム戦争の失敗以上に、米国が無力であることを明瞭に示した」(『環球時報』)などと述べ、アメリカの敗戰を強調した。

 中国は、7月下旬に王毅外相が中国天津市でタリバン幹部と会談するなど 既にタリバンとの接触を強めている。アフガンの和平、和解、復興プロセスに中国が強い影響力を持つのが避けられない事態となっている。中国には、アメリカ徹退の隙をついて、アフガンを巨大経済圏構想「一帯一路」の中継点とする思惑があるのだろう。

 中国の野望を挫くには、日本も例えば欧州諸国とともに、アフガン復興支援を行い、タリバン政権が親中政権になってしまうことを防ぐ必要があろう。アフガンが真紅に染まってしまうことは、日本の将来にも暗い影を落とすことになりかねない。中国の勢力が拡大してしまうからだ。日本(東京)が第二のアフガン(カブール)になることは断じて避けなければならない。

濱田浩一郎(歴史家・作家・評論家)

兵庫県相生市出身 。皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。歴史家・作家・評論家。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員・姫路日ノ本短期大学講師・姫路獨協大学講師を歴任。大阪観光大学観光学研究所客員研究員。著書として『播磨赤松一族』(新人物往来社)『北条義時』(星海社新書)などのほか、共著では『NHK大河ドラマ歴史ハンドブック麒麟がくる』『NHK大河ドラマ歴史ハンドブック軍師官兵衛 』(NHK出版)ほか多数。

はまだこういちろう

最終更新:2021/08/25 07:00
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