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EXO元メンバー・クリスに重刑の可能性でファン悲鳴 中国芸能統制の見せしめか?

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クリス(写真/Getty Imagesより)

 人気K-POPグループ・EXOの元メンバー・クリス(カナダ国籍の華人メンバー)が、未成年者への性暴行容疑で8月16日に中国当局に逮捕されたと発表された。ミュージックビデオの撮影と称して女性を集めたうえで、飲酒させ性的暴行を行ったとする嫌疑である。クリスは、過去にも多くの未成年に手を出し、女性絡みのスキャンダルに事欠かない。

 現在、米ロサンゼルス在住の米国籍華人女性からも被害を訴えられている状況だという。EXOは世界的に活躍する人気グループだが、その元メンバーが世界各地で性暴行(違法薬物使用の噂もある)を行っていたとなれば、グローバル規模でのイメージダウンは避けられそうもない。

 中国メディアは、クリスが重刑を科される可能性を示唆している。中国では、性的暴行事件に対して3年以上10年以下の懲役が宣告される。特に未成年者に対する性的暴行は罪が重い。最大で死刑までありうる。環球時報の国際版であるグローバルタイムズは、「クリスに懲役10年刑が宣告される可能性があり、服役した後に(国外に)追放されるだろう」と伝えている。

 一方で新華社通信は「ウー・イーファン(クリスの中国名)事件が、ショービジネスに警鐘を鳴らした(中略)公演芸術界の違法行為が疑われる者は規定に従って厳重に処罰すべきだ」という論評を掲出。また共産党の機関紙である人民日報も、「いくら有名でも免責特権はない(中略)法を破った者は法に則って処罰され、人気が高いほど法を守らなければならない」と警告を鳴らしている。

 さて、クリスが犯した罪の愚かさはさておき、この一連の騒動とそれに追随する中国当局の動きは、とても政治的な意味を持つと報じるメディアもある。香港のサウスチャイナモーニングポスト(以下、SCMP)は、クリスの逮捕が「大衆参加抑制のためのモデルケース」になりうると示唆した。一体どういうことか。

 中国では芸能やファン関連産業の規模が大きいのにも関わらず、国内で大衆の参画や表現が比較的自由に許された数少ない領域だった。が、今年6月頃から当局の統制が強まってきたという。

 例えば、最近では国家新聞出版広電総局(中国全土のテレビ・ラジオ・新聞・出版社を管轄する機関)は最近、アイドル育成プログラムなどオンライン芸能番組の管理強化に関する通知を出した。政府のアイドル&ファン文化統制の機運を感じ取ったのか、微博(中国版ツイッター)も、8月6日に突然、自社が運営してきた「スターパワーランキングリスト」の閉鎖を発表。同リストは、ファンが自分の好きなスターをアピールする人気コンテンツだった。

 8月中旬には、人民日報が論評を掲載。中国のネットユーザーたちの非理性的なファン活動が、中国の社会·経済·文化的秩序を妨害しており、これを是正すべきだと“圧”をかけ始めている。

 つまり、「大衆が集まる」「自由に発信する」「風紀が乱れる」という特徴を持ったアイドルやファン文化を危惧し始めており、仮にそれが非政治的なものであったとしても統制の対象にすべしという機運が高まっているということになる。クリスの逮捕は中国当局に揚げ足取りに恰好の好材料。さらに統制が強まる転換点になるかもしれないというのがSCMPの指摘だ。

 ファンを暴行するだけでなく、中国の芸能ファン文化の統制にも一役買ってしまったクリス。今回ばかりは相手が悪い。ファンと再会できるのは、とても先の未来のことになりそうだ。

河 鐘基(ジャーナリスト)

リサーチャー&記者として、中国やアジア各国の大学教育・就職事情などをメディアで発信。中国有名大学と日本の大学間の新しい留学制度の設置などに業務として取り組む。「ロボティア」「BeautyTech.jp」「Forbes JAPAN」など、多数のメディアで執筆中。著書に「ドローンの衝撃 」(扶桑社新書) 「AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則」 (扶桑社新書)、共著に「ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実」 (光文社新書)など。

Twitter:@Roboteer_Tokyo

はじょんぎ

最終更新:2021/08/23 21:00
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