「佐久間宣行のNOBROCK TV」数々の無名の若手芸人を世に出した怪プロデューサーの「人間を見せる」手腕
#佐久間宣行 #吉松ゴリラ
テレビ番組でも度々語られる通り、現代バラエティのほとんどは制作・企画ありきである。番組に呼ばれるタレントのほとんどはその企画内容に沿って集められ、企画を体現するプレイヤーに徹する事が多い。タレントが番組の顔なら企画構成の担当者は番組の頭脳であり、その頭脳を担当しているテレビスタッフや放送作家にリスペクトが集まる事は必然である。
先日そんな裏方業でありながら、業界の内外を問わず多くのリスペクトを集めている人物のYouTubeチャンネルが新規開設された。それが「佐久間宣行のNOBROCK TV」である。本来テレビ制作という裏方業である彼への期待は、チャンネル開設後たった1カ月で登録者数15万人という数字が物語っている。
佐久間宣行は元テレビ東京の正社員。熱狂的な人気を誇るバラエティ番組『ゴッドタン』『あちこちオードリー』『ウレロ☆シリーズ』などを手がけており、当時会社員でありながら2019年4月からラジオ番組「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」のメインパーソナリティを担当し、話題となった。
そんな「佐久間宣行のNOBROCK TV」の魅力は、ゴッドタンと同様、「展開・結末が読めない、どうなるか分からない企画」である。
「佐久間宣行のNOBROCK TV」の魅力!
「佐久間宣行のNOBROCK TV」の企画は「こうするとおもしろいだろう」という企画ではなく、「こうするとどうなってしまうのか?」という企画が多い。その「どうなるのか?」の目の付け所が秀逸であり、1秒先の展開すら読めないドキュメント性の高さから一度動画を見始めたら目が離せなくなってしまうのが特徴だ。
これは佐久間の企画の多くが「仕掛け」を見せているようで、実は「人間」を見せているからである。
佐久間の企画は、そのキモとなる部分に企画意図を全く知らせていない人間を混ぜている事が多い。そしてこの人間に対し佐久間の用意した様々な仕掛けを行い、そのリアルな人間性を炙り出し視聴者に見せているのだ。
その人が次の瞬間怒りだすのか、泣きだすのか、恥ずかしがるのか。そのリアルな反応は予想できず、時に予想をはるかに超えたリアクションが映像として画面に映し出される。そしてそのリアクションを見て、更に適切な仕掛けをどんどん追加していく。
当然その仕掛け自体もズバ抜けておもしろい訳だが、どんなに事前準備していても、最終的にどういう展開になるかは対象者の人間性次第。結果、頭で作られた笑いではなく現場で作られたナマの笑いが軸となる。それが最終的に、企画をほかに類を見ない独自のものへと仕上げているのである。
つまり佐久間の企画は、教科書ベースの「A液とB液を混ぜればこうなる」という既に結論が出ている確認的な企画ではなく、ある種の爆発も起こり得る実験を見せている企画なのである。
ちなみにこの「人間を見せる」は佐久間の手がけるバラエティ番組でも一貫しており、これはゴッドタンきっかけで売れた無名の芸人が数多く存在するほど、対象者を輝かせたコンテンツが多い事からも証明されている。
最後に、このチャンネルの動画内容はカメラワークやキャスティングされているタレントレベル、参加人数を考えても企画規模としてイチYouTubeの枠を超えている。採算性以上に「おもしろいを追求した映像を撮りたい」という気持ちが垣間見え、今後も良質な動画が更新される事が期待される。
是非、ご視聴頂きたい。
【※敬称略】
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事