ロシアの巨漢が流血しながら暴れるライブ現場も! 写真家・西村満が体験した“不思議な旅”の写真集
#写真 #西村満
雑誌、ウェブメディア、広告などの領域で精力的に活動する気鋭の写真家、西村満。月刊サイゾーでは舐達麻、漢 a.k.a. GAMI、A-THUG、BESといったラッパーや角川春樹などハードコアな被写体を活写してきたが、「仕事」の写真だけでなく、世界各地で撮った「作品」にも瞠目すべきフォトグラファーである。
先頃、西村がオープンしたネットショップ「White Store」では、ロシアのモスクワ、南インドのオーロヴィル、アメリカのカリフォルニアという3つの土地で撮られた作品からなるZINE(自費出版の冊子的な写真集)が販売されている。ここからは、西村本人のコメントと共に、それぞれのZINEを紹介していこう。
『Moscow』
「モスクワでは夜な夜な若い人が集まるクラブやライブハウスを撮影しました。寒い日が続くモスクワの若者は、昼間はゆっくりしていますが、夜になると音楽に興じます。その楽しみ具合は激しく、恐ろしさを感じるほどですが、日中があれだけ寒くて室内にいる時間が長くなるのかと想像してみると、なんだか納得ができます。このZINEでは、音楽に身を投じるそんなモスクワの人々を撮影しています」
2017年秋、一晩で2つのハコに足を運んで撮影しており、1カ所目はグラインドコア系のライブハウス。巨漢たちが頭から血を流しながらモッシュする中に酔っ払った女子が飛び込んでいくなど、カオスな空間だったという。そして、2カ所目は世界的なファッション・デザイナーのゴーシャ・ラブチンスキーがプロデュースするクラブ〈NII〉。その現場には、ゴーシャ本人や、先鋭的テクノ・ミュージシャンのBUTTECHNOもいた。
『Auroville』
「南インドにオーロヴィルというフランス人女性が作った村があります。そこは世界最大のエコビレッジ。さまざまな人種や、異なる宗教・信条の人間がお金のかからない環境で共同生活をしています。インド政府やユネスコから支援を受けるこの村は、平和と調和を目的とした人類の理想郷となっています。また、近くにプドゥシェリーという街もあり、その2つの土地を撮影したZINEです」
西村自身、滞在中は朝起きたらヨガをし、瞑想していた。なお、オーロヴィルの中心地には大きな黄金のドームがあり、住人たちはその内部に鎮座する巨大な水晶玉を囲って瞑想を行うなど、不思議で怪しい魅力を放つ村だったという。
『Everything in Its Right Place』
「カリフォルニアを旅したときに撮った作品です。旅の最中にレディオヘッドの『Kid A』というアルバムを聴いていましたが、気がつけば写真が真っ赤になっているという不思議な現象が起きました。是非、『Kid A』を聴きながら見てほしいZINEです」
ZINEのタイトルは、『Kid A』の1曲目と同じ。突き抜ける青い空……といったイメージがあるカリフォルニアだが、赤い写真は同地のそうではないグロテスクな一面をあぶり出しているようにも見える。
少しでも気になったら、西村のネットショップ「White Store」を一度のぞいてみてほしい。
●INFO
「White Store」
西村満(にしむら・みつる)
1989年、熊本生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒業。2012~14年にドイツ・ベルリンへ留学。都内スタジオ勤務を経て、18年にフリーランスとして独立。 Instagram<@mitsuru.nishimura>
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