菅首相下ろしののろし? 横浜市長選で負けるはずのない小此木候補が野党候補に苦戦
#小此木八郎
結果次第では菅義偉首相の進退問題にまで発展しかねない、22日の横浜市長選投開票まで残すところわずか。筆者は共同通信、神奈川新聞、テレビ神奈川(TVK)が共同で行った世論調査の“意外な”数値を入手した。
立憲民主党が推薦する野党候補の横浜市立大元教授の山中竹春(48)が、現職の大臣を辞して市長選に臨む前国家公安委員長の小此木八郎(56)を「奇跡でも起きない限り逆転は不可能」(横浜市関係者)なほど引き離したのだ。
今回の横浜市長選は小此木氏、山中氏のほかに現職で4期目を目指す林文子(75)ら過去最多の8人が名乗りを上げたが、主要メディアの世論調査は、序盤戦では小此木氏が頭一つリードしているとした。
実際、朝日新聞社が9、10日の両日実施した電話調査と、取材で得た情報を合わせた序盤の選挙情勢は小此木氏がわずかな差で先行し、山中氏と林氏が激しく追う展開となっていると分析していた。
たしかに、小此木氏に負ける要素はなかった。現職の総理大臣である菅義偉が全面的に肩入れし、自主投票になったとはいえ、自民党所属の横浜市議36人中30人の支持を得た。県議は全員が支援確約の誓約書を出し、公明党も表向き自主投票としているが選挙戦の実戦部隊に加わった。永田町関係者は「普通の状況下であれば、小此木氏が間違いなく勝つ選挙」と話すとおり、8日の告示の時点では誰もその勝利を疑っていなかった。
衝撃の世論調査結果!
そんな小此木陣営に、共同通信、神奈川新聞、テレビ神奈川(TVK)が8月13~14日にかけて行った世論調査が、衝撃の数字を突きつけた。トップを走っているはずだった小此木氏はいつの間にか、野党候補の山中氏に大幅なリードを許していたのだ。その結果はこうだ。
小此木21.5%
山中29.1%
林9.9%
神奈川新聞はこの世論調査の結果を14日付の電子版で「山中氏先行、追う小此木氏」と報じたが、「選挙戦への影響大」(同紙関係者)と、数値は伏せたままにした。
今回の市長選はカジノを含む総合型リゾート(IR)の誘致が最大の争点となっているが、小此木氏、山中氏の両候補とも横浜市へのカジノの誘致には反対の立場を取る。
菅首相は観光立国の実現に向け、IRの実現に向けた環境整備を推進してきた。自民党も党としてIRを推進する。しかし、小此木氏は「横浜市民の理解を得られていない」ことを理由に反対の立場を取る。8日の第一声でも「当選したら横浜ではやらない。選挙で失敗したら政界には戻らない」とIR誘致中止への強い決意を示した。
この時点で、野党候補である山中氏のカジノ阻止を争点に、浮動票や保守系の反対票を取り組む戦略は一端、崩れた格好となった。それならば、祖父の歌治氏、父親の彦三郎氏と三代に渡り横浜に強い地盤を築き上げ、当選8回で国家公安委員長を二度にわたり務めるなど、抜群の知名度を持つ小此木氏が自民・公明の組織力を生かした選挙戦を展開し、市長選も制するはずだった。
しかし、ここにきて思いのほかの小此木氏の苦戦。この苦戦の理由を横浜市議の一人は「首相の人気の無さが選挙にもろ、影響している」と、明かす。
朝日新聞社が7~8日に実施した全国世論調査によると、菅内閣の支持率は28%と2020年9月の政権発足以来、初めて3割を切った。読売新聞が7~9日にかけ実施した全国世論調査でも菅内閣の支持率は35%と政権発足以降、最低の数字を更新している。
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