不要不急でファビュラスな叶姉妹と中年男性たち
#叶姉妹 #テレビ日記
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(8月8~14日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
叶恭子「(バッグは)物を入れるためだけに存在するものではないということよね」
叶姉妹がテレビに登場し始めたころ、その“正体”をめぐっていろいろと詮索があった。暴露本も出ていたように記憶する。が、いまではもう、そういった詮索はあまり見聞きしない。
なぜだろう。姉妹のファビュラスな存在感に、魅了される人が増えたのだろうか。多くの人がそのファビュラス感に慣れたのだろうか。“正体”以外の訴求ポイントが、需要と供給のファビュラスな均衡のなかで徐々に見つかったのだろうか。ところで、“ファビュラス”って言葉の使い方、これで合っているだろうか。
そんな叶姉妹が10日の『マツコの知らない世界』(TBS系)に登場。マツコ・デラックスによると、ファッション雑誌『25ans』に姉妹がスーパー読者モデルとして登場したとき、マツコの周囲では話題になったらしい。「とんでもない姉妹が登場したわよって。最初に発見したくらいのときは」。マツコがそう振り返ると、姉の恭子は次のように自負した。
「そうなんです。私たちは発見されたんです」
なお、2人は同番組のファンで、リアルタイムで視聴できなかったときも見逃し配信で見ているのだとか。「ハムカツの世界」とか、「扇風機の世界」とか、「電柱の世界」とかも見ているということだろうか。果たして、どんな感想をお持ちになるのだろう。姉妹が副音声の配信が見たい。
そんな彼女たちがプレゼンター役として今回紹介したのは「何も入らないバッグの世界」。番組での紹介によると、スーパーマイクロバッグと呼ばれる「何も入らない」小さすぎるバッグは、現在ハリウッド女優なども愛用するなど世界的ブームになっているらしい。
が、その小さな鞄が「スーパーマイクロバッグ」と呼ばれるようになる前から、姉の恭子はコレクションし始めていたのだという。目利きに“発見”された彼女は、“発見”する目利きでもあるのだ。
ただ、そんなバッグを収集し始めた姉に、妹の美香は「何も入らないのに買うの?」などと疑問を持っていたらしい。そんな妹を、姉は「何言ってるの美香さん。バッグは入るから買うんじゃないのよ」と諭したという。姉はさらに次のようにも語った。
「(バッグは)物を入れるためだけに存在するものではないということよね」
何も入らないバッグを次々と紹介する姉妹。妹を翻弄する姉と、姉に振り回される妹、という役回りも、もはや様式美だ。ただ、彼女たちのプレゼンはこれに留まらない。2人が次に取り出したのは「履けない靴」。姉の恭子は、自分では履けない靴もコレクションしているという。汚すのが嫌で履けないスニーカーのコレクションなどとはわけが違う。端から履けない靴の収集だ。
そんな姉の行動に、やはり疑問を持つ妹。しかし、姉はいつもと変わらないゆったりとした口調で妹を諭す。
「だって、履かなきゃいけないわけじゃないでしょ?」
何かを入れる機能を取り除かれたバッグ。履かれる役割を脱がされた靴。マツコは「ある意味、哲学に近いですよ」と解釈していたけれど、それが“哲学”と呼べるような大仰なものかどうかは別にして、一見無用な物を愛する彼女たち(主に姉)の言動には、“不要不急”な行動の制限が求められるなか、なんだか解放感を覚えるのも確かだ。“不要不急”の擬人化のような存在といえるかもしれない。
叶姉妹、食べられないハムカツの収集とか始めないかな。いや、これはプレシャスとは言えないか。“プレシャス”の使い方、これで合ってるだろうか。
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