『ドント・ブリーズ2』は1よりさらに残酷に… ネタバレなしで語る盲目の老人によるバトルホラーの魅力
#ホラー #ドント・ブリーズ2
守るべき少女がウィークポイントとなる
前作から8年後。盲目の老人は古びた屋敷で、1人の幼い少女を大切に育ていたが、ある日、謎の武装集団が屋敷に忍び込んでくる。彼らの目的が少女であると気づいた老人は、すべてを知り尽くした屋敷内で、超人的な聴覚と腕力を武器に全員の排除を試みるのだが……。
前作と大きく趣向を変えているのは、盲目の老人が幼い少女を「守る」立場であること。「盲目の老人VS侵入者たち」という基本の構図は前作と同じでも、老人は侵入者たちがなぜか幼い少女を狙っていることを知り、彼女を「人質に取られてしまうかもしれない」「それどころか殺されてしまうかもしれない」という、心理的な意味でも大きなハンデを負うことになる。
前作は、老人は(目が見えなくても)住み慣れた屋敷の構図を知り尽している「地の利」があること、その超人的な聴覚と腕力というアドバンテージを利用することにも面白さがあったのだが、今回の少女はそれらを無に帰するほどの、老人にとっての致命的なウィークポイントとなってしまうのだ。
新たな「命懸けのかくれんぼ」の面白さ
さらに、今回はその少女の視点が入っているのも新基軸。特に、序盤の「もう少しで少女が侵入者に見つかってしまう」危機の連続は、とてつもなくスリリング。この時のカットを割らない「長回し」の追っていくようなカメラワーク、だからこそのリアルタイムかつ命懸けのかくれんぼのハラハラドキドキを存分に楽しめるのだ。
そして、その少女を演じた若き女優の熱演も素晴らしい。撮影時には11歳だったという新星マデリン・グレースは、演技力のみならず身体能力の高さでもロド・サヤゲス監督を驚かせたそう。過酷な状況でも諦めない、健気な少女の奮闘に心から「がんばれ!」と応援できるだろう。前作にはほぼなかったR15+指定納得の残酷描写も、「幼い少女を絶対にこんな目に遭わせない」と観客にも思わせるために、必要なものだった。
この時点で「前作にはなかった(しかも前作を知らなくても楽しめる)面白さを打ち出してくれてありがとう!」なのだが、その上で「反撃」のためのギミックの数々も手が混んでおり、さらに後半の予想の斜め上の展開で盛大に観客を「おもてなし」してくれるのがたまらない。「よし!ここでこうやって怖がらせるぞ!なんなら痛快な気分にもなってもらうぞ!とことん楽しんでってね!」がぶっ続く、作り手のサービス精神がフルスロットルの嬉しさを噛み締められたのだ。
また、前作はかわいいワンちゃんの大活躍も見所だったが、今回は……いや、これは何を言ってもネタバレなので秘密にしておこう。とにかく、犬が物語の重要なファクターとなっている、ということだけはお伝えしておく。
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