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チョコプラ、千鳥の「未完成品」から「完成品」へ

チョコプラ、千鳥の「未完成品」と「完成品」の画像1
『お笑い実力刃』(テレビ朝日系)Twitter(@neta_sand)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(8月1~7日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

長田庄平(チョコレートプラネット)「あとはもうご自由にツッコんでくださいよ」

 チョコレートプラネットは不思議だ。IKKOのモノマネでブレイクし、その後はTT兄弟などのネタで再びブレイク。瑛人『香水』のPVのパロディや「悪い顔選手権」の企画が話題になるなど、YouTubeチャンネルの動画も人気だ。彼らは話題になったネタを引っさげて、数々のバラエティ番組を席巻してきた。

 そんなチョコプラの一つひとつのネタとその消費のされ方を見ると、過去の一発屋芸人と同じように見える。けれど、彼らは“一発”では終わらず、“一発”を次々と当てていった。現在ではコントのレギュラー番組『新しいカギ』(フジテレビ系)が始まるなど、安定的な人気を確保しつつあるように見える。

 そんなチョコプラが、4日の『お笑い実力刃』(テレビ朝日系)に出演。ネタを披露するとともに、ネタ作りなどに関するトークをしていた。

 上述のように、YouTubeの動画も好調のチョコプラ。番組では、2人の人気動画に共通する点として「ツッコミが存在しない」点が挙げられていた。たとえば、お互いに架空のブランド名を言い合うネタ動画。東京オリンピックの開会式で話題になったピクトグラムのパロディ動画。海外アーティストのMVを再現した動画。なるほど、その動画内にはわかりやすいツッコミは見当たらない。

 ツッコミがないネタをするのは怖くないのか。そう問われた長田庄平は、次のように答えた。

「投げっぱなしのネタとかもやるんですけど、コメントでツッコむ人が多くて。こんなノッてくれるんだと思って。ツッコミたいんだと思って。じゃあ、もうボケだけ提供してやろうと。あとはもうご自由にツッコんでくださいよっていう」

 見た人が「何これ?」「何を伝えたいんだ?」と疑問に思うものを世に出し、ツッコミを誘う。見る側の自発的なツッコミが連なり、世間の話題を生んでいく。あえて未完成品を提供し消費者の参加によって完成品となる。完成品を与えられることに満足しない消費者に訴求する。そんなマーケティングの戦略を、そこに重ねることもできるかもしれない(それが新しい形のお笑いかというと、たとえば『8時だョ!全員集合』(TBS系)の「志村後ろ!」のような例もあるので、舞台の笑いに先祖返りしている部分もあるのかもしれない)。

 そんなネタの構造は、2人の軌跡にも重なって見える。チョコプラは2006年に結成。その2年後には『キングオブコント』(TBS系)の決勝に進出するなど、ネタは早くから注目されてきた。しかし、コントに力を入れ、賞レースで結果を残しても、なかなかブレイクにはつながらなかった。ターニングポイントとなったのは、松尾駿によるIKKOのモノマネだった。

「そこまではコント一本だと思ってたんですよ。コントしか道がないって思って、ずっとコントやり続けて。でも、賞レースで結果残してもハネへんしどうなんだろうと思ってて。で、モノマネでドンって行って。そのあとTT兄弟とかもバンって行って。なるほど、と。こういう角度もあんのかと思って」(長田)

 彼らが一発屋にならないのは、ネタの確かな面白さやバリエーションの豊富さ、スピード感などに加え、視聴者のツッコミを誘導し続けるネタの構造もあるのだろう。未完成品が完成品になっていくプロセス。それが生む推進力。周囲を巻き込み現象にしていく力。

 そして、そんなネタの構造は、必ずしも完成された工程表通りではないものの、モノマネやショートネタなどチャンスをひとつずつつかんでその都度の完成を確実に達成してきた、2人の軌跡にも重なって見える。

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