タミヤ、アオシマ、ハセガワが公立小学校にも乗り出した「静岡市プラモデル化計画」!プラモの衰退が、技術者の劣化を招くと危機感も
#プラモデル #静岡市
2020年から21年にかけて、フィギュアやプラモデルなどのホビー文化で地方創生を打ち出した高知県南国市と静岡県静岡市。そう聞くと「オタクのファンを呼びこむためか」と思う人もいるかもしれない。
しかし、それは半分正解で、半分不正解だ。たしかに、ホビーはアニメと並んで「オタク文化」としてくくられることが多かった。だが、町おこしの定番ともなった「アニメで聖地巡礼」とは違い、これら2市の取り組みには交流人口増加の先に「モノづくり」へとつながる道がある。
どちらも娯楽であることに変わりはないが、自ら手先を動かして、生活と地続きのキャラクターや乗り物などをつくる体験からの学びは大きい。
前回で取り上げたのは、フィギュアのメーカーである海洋堂高知を誘致した高知県南国市。今回は、プラモデル出荷量日本一の静岡県静岡市に取材をした。
▶前編「高知県南国市が人気メーカー海洋堂を誘致! “宇宙船”は、シャッター商店街を救う“箱舟”となるか?」
まちの公共物がプラモデルになっちゃう!?
県外からのメーカー誘致を足がかりにしたのが南国市だとしたら、すでに地元に根付いていたプラモデルメーカーと手を結んだのが静岡県静岡市だ。市内にはタミヤ、青島文化教材社、ハセガワなど、プラモデルの大手企業の本社があり、BANDAI SPIRITS(バンダイスピリッツ)のメイン工場もある。静岡市は全国のプラモデル生産量の83%を占める、いわばプラモデル日本一の聖地なのだ。
そんな同市は、2020年に静岡博報堂、博報堂ケトルと包括連携協定を結び、官民協働のシティプロモーションとして「静岡市プラモデル化計画」を打ち出した。
取り組みのアイコンとなるのは、市内各所に設置されたプラモデルのモニュメント、題して「プラモニュメント」だ。
コロナ禍の影響を受け、設置数はまだ4カ所と少ないが、これがスゴい。
本物の郵便ポストをランナー(パーツのついた外枠)に溶接したり、アンダーゲートと呼ばれる接続手法を用いたりと、長年のモデラ―ですら「マニアックだ」と驚くほどの凝りようだ。テレビ番組での放送やSNSなどでも毎日のように投稿があり広がりを見せている。
こんなにユニークな取り組みであるが、意外にも「地元でも『プラモのまち』という認識は高いとは言えません」と、静岡市産業振興課の新村真央さんは語る。新村さん自身も、市の職員になるまで知らなかったそうだ。
「長年、『世界に発するコンテンツ』を発信したかった市長の肝いりで始まった事業です。この取り組みを機に、静岡市といえばプラモデル、と知名度を上げるのが最初の目標です」(新村さん)
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