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任天堂との特許権侵害訴訟で和解金総額33億円をどう見る? 崖っぷちコロプラは『白猫GOLF』でなんとかなるのか?

任天堂との特許権侵害訴訟で和解金総額33億円をどう見る? 崖っぷちコロプラは『白猫GOLF』でなんとかなるのか?の画像1

 去る8月4日、コロプラは任天堂との間で係争中だった特許権侵害訴訟について和解が成立したことを発表した。同社の発表によると、任天堂の本件訴訟の取り下げに対してコロプラが今後のライセンスなどを含めた和解金として総額33億円を支払うことで両者が合意したようだ。

 そもそも、この特許権侵害とはなんなのか? そして、総額33億円の金額をどう見るか? ここではこれまでの顛末をまとめる。

1997年12月から続く両社の見解の相違

 事の発端は1997年12月に遡る。任天堂がコロプラに対して、特許権侵害について訴訟を起こした。具体的には、コロプラが運営するスマホゲーム『白猫プロジェクト』に実装されている「ぷにコン」についてだ。同ゲーム内のキャラ操作などに使われる「ぷにコン」は、タッチパネルを使った技術。

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 任天堂は『白猫プロジェクト』が登場する前からタッチパネルを使った操作についての開発を行っており、特許を取得していた。とはいえ、『白猫プロジェクト』が登場した時点では、任天堂側は黙認していたようだ(少なくともリリース時点で訴訟はなかった)。

 ところが、コロプラ側が技術の使用のみならず、オリジナルとして特許を取得しようと動きを始めたことから任天堂が提訴に踏み切った。裁判に至るまで、任天堂側はコロプラに対して注意喚起をしていた模様だが、一向に埒が明かずに堪忍袋の緒が切れた格好だ。

 これが2017年の話で、この時点で任天堂側は、損害賠償として44億5,000万円に加えて、『白猫プロジェクト』の提供差し止めを請求。これに対しコロプラ側は、任天堂の特許権侵害はないと主張し、この見解の正当性を主張すると発表。真っ向からぶつかる構えを見せた。

 ここまでの話では任天堂がいきなり訴訟を起こしたように聞こえてしまうが、実は2016年ぐらいから任天堂はコロプラに対して警告を送っていたようだ。しかし、コロプラ側がのらりくらりと交わしていたようで、この事態に発展したというい見方が多い。

長い協議の決着はつかず、33億円で和解

 その後、両社の協議は続くことになるが、結局3年経っても決着がつかない事態に。この事態を重く見た任天堂側は、2021年に96億9,900万円に賠償金額を大幅にアップした。この数字は「白猫」に対する「96(クロ)」ではないかという憶測も飛び出した。

 そして、8月4日に決着を迎える。任天堂の訴訟取下げに対して、コロプラが和解金として総額33億円を支払うことで両社が合意した。当初の44億円、今年に入ってから増額された96億円から考えても、33億円は安いとは言えないものの、比較的軽症で済んだという印象ではないだろうか。

 とはいえ、コロプラは2020年にSwitchでリリース予定だった『Shironeko New Project(仮)』が事実上消滅したプロジェクトになっている上、直近の数字も芳しくない。

 21年9月期第3四半期累計の連結経常利益は前年同期比25.7%減の68.3億円、4-6月期(3Q)の連結経常利益は前年同期比26.8%減の13.1億円、売上営業利益率は前年同期の18.1%から13.8%となかなか厳しい状況が続いている。

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 白猫シリーズの新作としては、今年7月に『白猫GOLF』を発表。詳細は未定だが、今年7周年を迎えた『白猫プロジェクト』のキャラクターが登場するスマホ用ゴルフゲームということだ。

 現代において、スマホゲームはヒットがかなり難しい領域と言われているが、その一方で『ウマ娘』のように会社の屋台骨にまでなるほどの数字を叩き出す事例も生まれている。果たして、『白猫GOLF』で今回計上した特別損失33億円を回収できるのか? 注目が集まる。

辻 英之(編集者)

起きてる間が営業時間のプロ編集者。ゲームメディアの編集長、IT企業での経験を活かし、デジタルエンターテイメント分野記事を中心に寄稿中。ビジネスジャーナルでは『オレの周りはゲームばかり』を連載中。

つじひでゆき

最終更新:2021/08/06 20:00
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