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「旅番組の救世主」コロナ禍でロケに人気のキャンピングカー、業界の事情

コロナ禍でロケ番組に人気のキャンピングカー、の画像1
Getty Imagesより

 コロナでは幅広い業種・職種が甚大なダメージを喰らっているが、チャンスに乗じて業績を伸ばした業界もある。代表的なのはネットビジネス、宅配事業、物流、住宅、医薬品、ゲームなどだが、密にならずに移動できるキャンピングカー業界も、二度と無いチャンスに攻勢をしかけている。民放の番組制作関係者はいう。

「旅番組は確実に視聴率が稼げる優良コンテンツですが、コロナでロケが出来ず、再放送や再編集したものばかりになっています。現在、観光地のホテル、温泉、レジャー施設などはどこもガラガラで、『是非ロケに来て下さい』『何でも協力します』と声を掛けて頂くこともあるのですが、コロコロ状況が変わるので、やはり行きにくい。

 そんななか、人との接触を避けて移動できるのがキャンピングカーで、どこかにロケに行きたい番組制作側と、車を売りたいキャンピングカー業界のニーズが合致し、『キャンピングカーで旅をする旅番組』が増えています」(番組制作関係者)

 こうした番組の“王道”は、アウトドア好き、釣り好き、料理好きなどのタレントがキャンピングカーで旅をしながら、料理や宿泊する様子を撮影。キャンピングカーの内部を紹介することでタイアップにして制作費を削るという。いわば旅番組の救世主となったキャンピングカーだが、旅番組スタッフはこの1年、未経験のトラブル続きだったという。

「とにかくこの1年、コロナでてんやわんやが続いています。放送直前に緊急事態宣言が発令されたために、あわてて『撮影は○日です』『収録に際して、万全のコロナ対策を行っています』というテロップを入れたり、一時期はOKとされていたフェイスガードがダメだということで、一部のシーンを撮り直したり……。緊急事態宣言が開けるまで放送を待ったために、季節感が完全にズレたこともありましたし、移動自粛のお願いのせいで、事実上お蔵入りになったものもあります」(キー局関係者)

 ワクチン接種が進んでも、まだまだコロナ感染は怖いまま。密が避けられるキャンピングカーが人気なのも当然で、業界は“にわかバブル”に沸いているという。トラベルライターはいう。

「とりわけ男性は憧れる人も多いキャンピングカーですが、年間の売り上げは全体で数百億円という小さい業界。近年は登山ブーム、アウトドアブームで追い風でしたが、そこにコロナ禍がやって来て、“二度と無いチャンス”だと業界は沸き立っています。実際、2020年は前年度より1割も多く売れました。車中泊が出来る車も人気ですが、キャンピングカーならより快適ですし、車体価格もそれほど変わらない。大型サイズの本格的なキャンピングカーは難しくても、軽自動車サイズで作られた『軽キャン』なら手軽に楽しめます」(トラベルライター)

 もっとも、キャンピングカーは“珍事件”も多いという。カー雑誌記者はいう。

「ルーフを駐車場の屋根にぶつけたり、狭い道に入り込んで身動きがとれなくなったり、せっかくトイレ付きなのに肝心の時に水が切れたり、カーブで冷蔵庫が開いて中のものが車内にぶちまけられたり、窓を開けたまま寝て車内が虫だらけになったり……色々と珍事件は聞いたことがあります。

 車体が重いので燃費は悪いですし、『定員いっぱいまで人を載せたら、高速の上りで極端にスピードが落ちた』という話も。どこでも泊まれるのが魅力ですが、街中には停められませんし、水を補充する場所も意外と難しい。できればいきなり買わないで、まずはレンタカーで試してから買うことをお勧めします」(カー雑誌記者)

 こういった話まで踏まえてキャンピングカーの旅番組を見ると、より楽しめるかもしれない。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2021/08/01 08:00
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