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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 「JFATV」で見るテレビとサッカー

テレビでサッカーは死んだのか!?「JFATV」を通じて考えるメディアとサッカーの関係性

JFAが苦しむ”世界基準”/メディアが認めない価値

 あるJFA関係者は「あくまで主観的な意見」と断った上で、「ここ1~2年におけるJFATVの成長は、現場が課題感を持って取り組んできたことの結果がやっと、出てきたのかなと感じています。JFAとしても以前からJFATVを育てていこうといった考えがあったのですが、なかなかSNSなどのソーシャル・メディアやオウンドメディアへの対応ができなかったんです。現在、撮影や制作に関しては手弁当で行っている部分が大きいのですが、その分、選手に肉薄したり視聴者が喜ぶものができているんです。世界的に観てもスポーツコンテンツの価値は高く、それをどう新しくビジネス展開していくかが、課題になっています」という。

 一方で民放のテレビではサッカーを放送する枠が減ってきている。ニュースでの取り扱い時間が減り、サッカー番組が無くなり、ファンの間でも動揺が走っていた。

「国内メディアは、現在のサッカー日本代表はワールドカップなどの予選の範囲内であれば勝つことが当たり前になり、普通に勝っただけだと大きく取り扱ってはくれません。そこでJFAとしてもエンドコンシューマーへのリーチが望めるオウンドメディアに活路を見出す様になりました。これは日本に限ったものではなく、世界的なサッカーのトレンドでもあります」

 このトレンドの先鞭となったのが、スペインのラ・リーガに所属するクラブチーム、FCバルセロナが運営する「バルサTV」などの“オフィシャルクラブTV”だという。

「バルサTVはバルサの専門チャンネルとして、1000時間以上のコンテンツ、3000本以上のビデオを有するほか、常にFCバルセロナの情報を流しています。これはFCバルセロナが男子チームだけでも年齢ごとに16チームに分けられ、女子やバスケ、ハンドボールのチームなども擁するスポーツ・コングロマリットであるから可能なこと。JFAも年齢ごとにチームがありフットサルやeスポーツにも力を入れ始めているので、参考にできる部分は大きかったのでしょう。

 ただ、選手の肖像権を持っているクラブチームと違って、JFAでは代表に招集した期間の映像しか取り扱えないといった制約があります。近年、日本代表の選手は3/4程度が欧州のクラブチームに所属しているので、そうなるとクラブチームの意向に従わなければなりません。その範囲内で、何ができるのか、を考えねばならないわけです」

 その欧州では世界各国でサッカービジネスのイニシアチブを巡って、欧州サッカー連盟(UEFA)に対して、各国のトップクラブチームが主導する欧州スーパーリーグの構想が立ち上がるもすぐに頓挫するなどを繰り返している。各クラブも自社でメディアを配信し、SNSを運営し、ECサイトの運営も盛んになっている。サッカーを巡るビジネス的な恐々は、目まぐるしく変化している。

「世界のサッカービジネスが変化して成長しているのに対し、それを取り扱う日本のメディア側が追いつけていない面も、一部にはあるかもしれません。それが如実に出ているのが、試合の放映権が買えなくなってきているという問題です。例えばチャンピオンズリーグの放映権について『なんでこんなに高いんだ』とメディア関係者に言われることもあるのですが、日本がデフレゆえに買い負けている部分もあります。そして、エンターテイメントとしてのスポーツを伸ばしていくための施策も、メディア側が制約が多くてなかなかできないことも要因でしょうね」

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