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菅首相の素顔に迫る映画『パンケーキを毒見する』がゾッとしながら笑える理由

菅首相の素顔に迫る映画『パンケーキを毒見する』がゾッとしながら笑える理由の画像1
©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会

 2021年7月30日より、菅首相の素顔に迫った政治ドキュメンタリー映画『パンケーキを毒見する』が劇場公開される。

 まず、本作は今の政治のさまざまな問題について、「何となく知っている」もしくは「あまり興味がない」くらいのスタンスの方にこそおすすめしたい。そうした層に向けた視点が多く、そられが非常に「フェア」であり、なおかつ小難しさがない、「ゾッとしながら笑える」ブラックコメディ風味のエンターテインメントだったのだから。

 もちろん、新型コロナウイルス対策の不備や矛盾に怒りを覚えている人、自民党の政策そのものに疑問を感じている人など、大小はあれどに政治に関心の強い人にも観てほしい理由がある。そして、開催中の東京五輪を取り巻く空気に違和感を覚えてしまいがちな今こそ、「現状」を再確認するきっかけになるだろう。以下より映画のさらなる特徴を解説していこう。

取材NGのオンパレード

 この映画は、とにかく取材NGのオンパレードだったことから始まる。菅首相を慕うガネーシャの会の若手議員たち、元秘書や県議会議員、菅首相を知るマスコミや評論家、ホテルからスイーツのお店まで、取材はNGだったのだ。

 なぜスイーツのお店にまで取材を?と思われるかもしれないが、実は菅首相の「気さくな人柄」を示すため、パンケーキがさんざん重用されていたことがあるのだ。そのことは、古舘寛治のナレーションで「時の首相がかわいさアピールに頬張ったパンケーキ。就任早々、新聞記者たちを懇談会に招き、パンケーキを振る舞った。さざ心地よい口当たりに、ふんわりともスカスカとも言える中身だったのでは」と、皮肉たっぷりに表現される。

 映画本編は、それらの取材NGの嵐はなんのその、パンケーキでのかわいさアピールなんぞには全くごまかされない、「政治家としての菅義偉がこれまでどのようなことを行い、何を考えているのか」ということを、少数精鋭の有識者のインタビューから紐解いていく。『パンケーキを毒見する』という奇妙にも思えるタイトルは、実際に知って(食べて)みないとわからない(毒が入っているかもしれない)菅首相の「中身」を風刺した、秀逸なものだ。

『こち亀』を思い出すわかりやすい風刺アニメ

 メインは有識者のインタビューで構成されているものの、要所要所でクオリティの高いアニメーションが挿入されるとことも本作の大きな特徴だ。見た目は社会風刺を過激なギャグを交えて描くアニメ『サウスパーク』っぽくはあるが、そちらと違って下ネタはいっさいなく、子どもに見せても問題ない、それどころか「子ども向け」と言ってしまえるほどにわかりやすい内容になっていた。

 例えて言うのであれば、マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』において、部長が両津に世の中の仕組みについて「紙芝居」で教えるというシーンがあるのだが、本作のアニメのわかりやすさはそれに近い。初めの菅首相のコロナ対策を皮肉たっぷりに描いたアニメはまだしも、中盤の「小学生がウソばかりを公言する政治家のマネをして言い訳をする様」や、「羊(国民)がバタバタと倒れても全く平気な顔で良さげなことを言う羊飼い(政治家)」は親しみやすい絵面も合間ってNHKの教育アニメのような様相にまでなっていた。

 その風刺アニメの「わかりやすさ」そのものにも笑ってしまうが、同時にゾッともさせてくれる。もちろん風刺としての誇張はあるとは言え、子どもにもわかるくらいの異常さが今の日本の政治にはあるじゃないか、と心から思わせてくれるのだから。

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