菅首相の素顔に迫る映画『パンケーキを毒見する』がゾッとしながら笑える理由
#政治 #映画 #ドキュメンタリー #菅義偉首相
もはやコントのような会議
学術会議の調整問題に対する菅首相の質疑応答が、もはや「コント」レベルになっていることも強烈だ。実際に観てほしいので詳細は書かないでおくが、その受け答えはもはや質疑応答どころか会話になっておらず、日本共産党の小池晃議員からの真っ当なツッコミ、「矢印」付きのテロップの演出も含めて、滑稽すぎて笑ってしまうのである。
反面ゾッとさせられるのは、その映像を解説する法政大学教授である上西充子氏による、「うんざりすることがある種の手法になっちゃっている」という指摘だ。上西氏は「政府(自民党)にとっては、国民が政治への関心を失ってくれて、投票率が低い方が、自分たちは安泰じゃないですか」とも語っているのである。
このコントのような会議は実際に観ても、「どうしようもない」ほどの呆れムードになってしまうが、それも計算づくというか「それはそれで自分たちにはプラス」のつもりでやっているとしたら……なんと恐ろしいことだろうか。
「二面性」と「バクチ打ち」の面も描く
菅首相の「二面性」を描いていることも特筆すべきだろう。というのも劇中で民主党の江田憲司議員は、「都会派で国民の思いが分かる政治家」と「金集めのうまい利権政治家」という2つの顔を併せ持っていると語っているからだ。
その上で、官僚の反対を押し切って実施したふるさと納税、2013年のアルジェリア人質事件での政府専用機派遣など、大胆な政策を実現してきた菅氏の政治家としての力も提示されている。対象となる人物の悪いところをだけをあげつらうのではなく、支持を得た活動を語っていることは、ドキュメンタリーとしてフェアな作りだ。
そして、「バクチ打ち」としての菅首相の姿も、この映画では暴いていく。個人の政治家としての躍進のために大胆な行動に打って出るのは結構だが、コロナ対策や東京五輪といった国民の生活に直接影響を与える政策にまで、一か八かのギャンブルをされたらたまったものではない。そのバクチ打ちぶりを、丁半(サイコロを使った賭博)で表現した演出も面白く、やはりゾッとしながら笑ってしまう。
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