クロスボウ所持、やっと禁止に! 殺人事件が頻発、「動物への射撃」も10年で30件報告
#クロスボウ #銃刀法 #所持禁止
クロスボウが銃砲刀剣類所持等取締法(以下、銃刀法)の改正により、所持禁止対象となり、許可を得ずの所持した場合には、懲役刑または罰金刑に処せられることになったのをご存じだろうか。
6月16日に銃刀法の一部改正法が公布され、公布日から9カ月以内の政令で定める日に施行されることになった。
クロスボウは、弦を引いた状態で固定する装置を有し、弦を固定してから矢を装塡し、銃のように引き金を引くことにより矢を発射させる。科学警察研究所の実験では、約5メートル離れた地点から矢を発射して、合成樹脂製ヘルメットおよびアルミ製フライパンを貫通するほどの威力を有することが確認された。
また、人体への殺傷能力を測るために一般的に行われる、ゼラチンに対する侵徹量実験では、銃刀法の規制対象である空気銃や拳銃に匹敵する威力を有することが判明した。
クロスボウが問題視されたのは、クロスボウによる殺人事件が頻発したことからだった。
2020年6月に兵庫県宝塚市では、無職の男が自宅で親族4人の頭や首にクロスボウの矢を発射、3人が死亡し、1人が重傷を負う事件が発生した。同年7月には、無職の女が夫に対してクロスボウの矢を発射、さらに包丁で突き刺し、傷害を負わせた。翌8月には、無職の女の自宅を訪れた民生委員に対し、クロスボウで傷害を負わせた。
クロスボウが使用された刑法犯の検挙件数は、10年から20年までの10年間で 27件あり、このうち殺人(4件)、殺人未遂(6件)などの故意に人の生命又は身体を害する罪に当たる事件が 16件と半数以上を占めている。このほか、特別法犯の検挙件数は 10件となっている。
この10年間で、クロスボウに関する警察への相談の件数は172件もあり、「動物への射撃」も30件に及んでいる。
こうした事態を重く見た警察では、「クロスボウの所持等の在り方に関する有識者検討会」で議論を重ね、20年 12月に「クロスボウの所持等の在り方に関する報告書」を取りまとめた。
クロスボウを使用した事件の被疑者の多くが、インターネットで入手しており、簡単に手に入ること、クロスボウの所持については法律上規制されていないことなどが問題視された結果、銃刀法の一部改正により規制を図ることになった。
6月16日に公布された銃刀法の一部改正法では、クロスボウの所持が原則禁止され、標的射撃等の用途のために所持するためには、都道府県公安委員会による許可を必要となった。同法施行後6カ月以内に所持許可申請、廃棄等をしなければならず、不法所持には3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる。
改正法の施行後に譲り渡す場合、相手方がそのクロスボウを適法に所持することができる方であることを確認しなければならず、違反した場合は、6カ月月以下の懲役または20万円以下の罰金に科せられるほか、不法所持幇助罪に問われる可能性がある。
さらに、同法施行時に所持しているクロスボウは、施行から6カ月間は例外的に所持できるが、この間、正当な理由がある場合を除き、携帯(運搬)することはできなくなる。違反した場合は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。
もし、クロスボウを所有しているようであれば、早急に都道府県公安委員会による許可得るなり、適切な方法により廃棄・処分することをお勧めする。こうした処置が適正になされていない場合には、突然、警察により罰金・懲役が科されることになる。
クロスボウの処分を検討している場合には、各警察署が無償で回収を行っているので、それを利用するのも一案だろう。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事