『ハコヅメ』と『TOKYO MER』高視聴率のナゼ? 2作品に共通する“主人公の特徴”とは
#戸田恵梨香 #鈴木亮平 #TOKYO MER #ハコヅメ
戸田恵梨香と永野芽郁が、交番を舞台にリアルな警察官の日常を演じる『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)が好調だ。
7月21日に放送された第3話の世帯平均視聴率は10.8%(関東地区・ ビデオリサーチ調べ)。この日本テレビ系「水曜ドラマ」枠で初回から2桁台をキープしている作品は、2020年6月から放送された篠原涼子主演の『ハケンの品格』第2シリーズ以来となる。さらにさかのぼると、2桁台をキープできているのは2019年1月から放送されていた大石静脚本、北川景子主演の『家売るオンナの逆襲』となり、こちらも2016年にヒットした『家売るオンナ』の続編となる。どちらも人気作の続編でありヒットが必然であることを考えると、今回の『ハコヅメ』は日本テレビにとって久々の新たなヒット作だ。
同作は、「モーニング」(講談社)で連載中の人気マンガ『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』が原作で、作者が元警察官なだけあり、ゆるいテンションの日常コメディがベースながら、扱う事件は意外と重々しい。ドラマ版は原作のストーリーを脚色してはいるが、この点は同じだ。第3話では、ひよっこ警察官の川合(永野芽郁)が刑事課の事情聴取に駆り出されることでストーリーが動き出した。ペアを組む敏腕警察官の藤(戸田恵梨香)は休暇中。「知らない男に変なことをされた」と警察署に来た女子高生の彩菜(畑芽育)の話を女性警察官として聞く川合だったが、慣れない聴取に被害者を気遣う余裕がなく、彩菜は何も話さず帰ってしまった。
事件自体には生々しさもある『ハコヅメ』だが、SNS上などでは和気あいあいと見られるドラマとして人気を博している。その一因として考えられるのは、W主演の片割れ、戸田演じる藤のキャラクター設定だ。
藤は刑事課から訳あって交番に異動してきたスゴ腕警察官だけあり、とても優秀だ。例えば第2話で、川合と面識のあった女性の自宅をガサ入れするシーン。同棲相手が連続窃盗犯だったことにショックを受ける女性を見て川合は証拠品探しを手伝いたくないと拒否するのだが、藤は「川合の反応が正常。慣れちゃった私たちのほうがおかしいよ」と川合の気持ちを肯定し、考える時間を与えてくれた。一転、第3話の強制わいせつ事案では、静かな口調で「性犯罪の聴取は私たち女性警察官にしかできないことが多い。あなたはもっと覚悟を持って臨むべきだった」と叱咤。言うべきことは言いつつ広い視野でモノを考えられる藤は、警察官として必要な穏やかさを持ちながら、仕事ができる人なのだ。
穏やかで仕事ができる主人公といえば、現在『ハコヅメ』以上に視聴率が好調なTBS日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』の喜多見幸太(鈴木亮平)もその一人だ。事故現場などの最前線に立ちながら、ほとんど笑顔を絶やさない。
『TOKYO MER』は最新の第4話こそオリンピック中継の裏番組となり視聴率を落としたが、第3話までは初回から右肩上がりで、今期最も注目されているドラマといっても過言ではない。それには及ばないが『ハコヅメ』も好成績。喜多見と藤に共通するのは「仕事が一流」かつ、感情的にならず「穏やか」ということ。先述した水曜ドラマ枠の過去のヒット作『家売るオンナ』『ハケンの品格』の主人公たちが、仕事はできるが無愛想だったり無表情だったりするのとは対照的だ。
むやみに同僚や後輩にプレッシャーを与えない主人公像が、いまの時代に求められているのだろうか。仕事にコロナ禍、ただでさえストレスの多い現代社会。両ドラマの高視聴率は、せめてドラマの中くらい理不尽から逃れたいという視聴者の願望の現れなのかもしれない。
■番組情報
水曜ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』
日本テレビ系毎週水曜22時~
出演:戸田恵梨香、永野芽郁、三浦翔平、山田裕貴、西野七瀬、平山祐介、千原せいじ、渕野右登、ムロツヨシ ほか
主題歌:milet「Ordinary days」(Sony Music Labels)
音楽:井筒昭雄
脚本:根本ノンジ
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:藤森真実、田上リサ(AX-ON)
協力プロデューサー:大平太
演出:南雲聖一、丸谷俊平、伊藤彰記
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/hakozume/
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