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光浦靖子と大久保佳代子、コンビ芸人の時間の積み重ね「お母さんに下ネタ言うみたいな感じ」

光浦靖子と大久保佳代子、コンビ芸人の時間の積み重ね「お母さんに下ネタ言うみたいな感じ」の画像1
『アメトーーク!』(テレビ朝日系)公式Twitter(@ame__talk)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(7月18~24日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

福徳秀介(ジャルジャル)「調子いいときは(ネタを)5時間で20本ぐらい」

 言わずと知れた昨年の『キングオブコント』(TBS系)チャンピオン。後藤俊平と福徳秀介から成るジャルジャルが、21日の『お笑い実力刃』(テレビ朝日系)でネタとトークを披露していた。

 彼らにたびたび驚かされるのは、そのネタの本数だ。YouTubeチャンネルでは毎日のようにネタ動画を投稿。番組で本人たちが語ったところによると、単独ライブの際はまずネタを150本ほど用意するという。そこから2人で35本ぐらいまで絞り、さらに作家も交えた話し合いで10数本に決めるらしい。

 150本は驚異的な数字に見える。しかし、彼らは150本であれば1カ月で用意できるそうだ。1日5本のペース。すごい。が、福徳はさらに「調子いいときは5時間で20本ぐらい」と言ってのけた。

 番組では、そんな多産さを支える彼らの特殊な能力が垣間見える場面もあった。披露されたのは即興コント。2つの箱から「上の句」と「下の句」が書かれた札を1枚ずつ引き、選ばれたお題でネタを披露するというものだ。たとえば、「何も知らされていない」と「ピエロ」が引かれたら、「何も知らされていないピエロ」というお題のコントをやる。打ち合わせの時間はない。舞台上の2人は何も言葉を交わすことなく、すぐにコントを始める。4本のお題に挑戦し、それぞれ見事に演じてみせた。

 単独ライブの際などにやっているらしいこの即興コント。もちろん、細部まで十分に詰められたネタではない。けれど、自然な導入があり、意外な展開があり、印象的なワードがあり、オチがある。もう少し詰めればちゃんとしたコントになりそうな状態ではある。そんなネタの種のようなものが何も打ち合わせず即興でできてしまうのは、ある程度ネタの“型”のようなものがあるとはいえ、やっぱりすごい。

 少し話は飛んで、23日の『思考ガチャ!』(NHK Eテレ)という番組で、「恋愛がめんどくさいワケ」を研究者たちが議論していた。同番組は、身近な疑問を異分野の研究者が読み解く教養バラエティ。そのなかで人工知能の研究者が、恋愛がめんどくさいのは「計算が終わらないから」だと語っていた。

 たとえば、ご飯に誘った相手が応じてくれたとする。それは好かれているからかもしれないし、嫌われているけど気を遣って応じてくれたのかもしれない。何が正解なのかはわからない。このように、ひとつの言動の背景にさまざまな可能性を読み込めるため、相手の気持ちを読み取る計算はいつまで経っても終わらない。結果、めんどくさくなってしまう。ある程度気心が知れた相手なら、可能性がいくつかに絞られて計算はある程度のところで打ち切られるのだけれど――といった説明だった。

 話をジャルジャルに戻すと、福徳は即興コントをやっているときの頭のなかを「樹形図形式で考えながら」などと説明した。お題が出たときに描かれる樹形図。そこにはさまざまな選択肢がある。けれど、2人は身動きがとれなくなってしまうわけではなく、どちらかが何かしらを仕掛ける。相手の仕掛けに応じて自分の出方を選ぶ。そうやって選択肢を絞り込みながら、オチまでもっていく。

 ジャルジャルというと、2人の人間味の薄さがしばしば指摘され、自分たちでも自虐気味に話していたりする。お笑いのマシーンに例えられたりもする。いつだったか、そのあまりの生活臭のなさに、千鳥のノブが「ご飯は食べてますか?」とツッコんでいた。ネタの多産ぶりがそのイメージに拍車をかけている面もあるかもしれない。

 けれど、彼らは無数の選択肢の前で計算を続けてしまわない。フリーズすることなく、お互いを参照し合いながらそのときの最適解を導き出す。高校のときから保健室で即興コントをやっていたという2人。今回披露された即興コントには、彼らの才気はもちろんのこと、2人の時間の積み重ねとそのなかで培われたお互いへの信頼を感じた。

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